実際、IT専門の調査会社であるIDC Japanの調査によると、14年第1四半期における世界全体でのタブレット市場の伸びは前年同期比3.9%増と微増にとどまっている。しかもシェアトップを誇っている米アップルが40.2%から32.5%と大きくシェアを縮小させている。大人気だったiPadですら縮小傾向にあるのだ。
では、どこがシェアを伸ばしたのかといえば、韓国サムスン電子である。しかしこれは携帯キャリア各社と連携したスマートフォン(スマホ)とのセット販売を強化した結果であり、タブレットそのものが選ばれたのではなく、手軽だから購入してみたというところだろう。
なぜ今、タブレット市場は伸び悩んでいるのか。タブレットが生き残る道はどこにあるのだろうか。
●普及が進み、様子見の状態か
まず伸び悩みの理由として、一定の範囲まで普及が進みきったというのが最も大きな理由だと考えられる。iPadシリーズやAndroidタブレット、Windowsタブレット。製品種類は豊富で、サイズも大小さまざま。中には非常に安価な端末もある。「タブレットに興味がある」という人は、ほとんど一度は実際に所有し、自分にとって本当に必要かどうかの見極めを済ませてしまっている。
さらに最近、そのように一度手に入れた製品を買い替えようと思わせるほどに魅力的な新製品もほとんど見当たらなかった。これでは、売り上げが伸びない、あるいは微減に転じても仕方がないだろう。
もちろんここで、非常に魅力的な製品が登場すれば話は変わってくる。しかし今、スマホを使い慣れ、通信機器に対して目の肥えた消費者の要求は、かなり厳しくなってきている。タブレットは、安価でバッテリーが長時間持ちし、さらに軽量であることが最低条件になっている。その上でデザイン等での勝負になっている。
●ファブレットに流れるユーザーも多い
用途が比較的簡易であるなら、タブレットほどの大きさは必要ない人もいるだろう。スマホとタブレットの中間サイズの「ファブレット」と呼ばれる端末も増えてきている。5インチ超のディスプレイを搭載したスマホは、すでに珍しくない。
高度な処理能力を求めているわけではなく、「スマホの小さい画面では不便だから、少し大きな画面の端末が欲しい」という人も多かったのだろう。7インチ前後のタブレットの売り上げが一時期非常に伸びた。しかしその後、電話機能まで併せ持った端末1台だけを持ち歩きたいとの要望を持った消費者は、ファブレットへと流れたようだ。
スマホと同じOSを搭載した小型タブレットは、結局中途半端な存在なのだろう。フィーチャーフォン(ガラケー)と組み合わせて持つならば、コンパクトなタブレットは便利だが、スマホが普及しすぎた結果、よくわからない立ち位置のものになってしまっている。