●最新の通信サービスへの対応
このように見てくると、大きくなってカメラ機能が強化されただけ、という印象かもしれない。これはiPhoneに限ったことではなく、最近のスマートフォン新製品の多くに共通することで、表立った機能では大きな変化が感じられないが、実は大きな変化をしている。それは、最新の通信機能への対応だ。
iPhone 6、iPhone 6 PlusではキャリアアグリゲーションとVoLTEに対応することが発表されている。複数の周波数帯を束ねて利用することで通信の高速化や効率化を実現するキャリアアグリゲーションと、LTE網を利用して音声通話を行うVoLTEは、国内キャリアでもすでにサービスが一部開始されており、近く各社出そろうことになる。
また高速データ通信規格LTEの一種であるTD-LTEにも対応したことで、SoftBank 4GやKDDI WiMAX 2+も利用できるようになっている。見た目にはわからないが、通信面は最新のものになっている。
●日本ユーザーにとっての魅力は?
全体を見た時に「買い」なのかどうか。当然、人によって評価ポイントは変化してくるが、それほど魅力的な端末には見えないというのが正直な感想だ。
もちろん、iPhone 4Sあたりを使い続けていて機種変更を考えている、または初めてスマホを購入しようとしているといった人には、良い選択肢となる。しかしその場合、新機種の発売を受けて入手しやすくなるiPhone 5sと十分比較したい。「買うなら最新の機種がいい」と言えるほどのインパクトはない。
新機種に具体的な魅力を感じられるのならば、それはよい。例えば、気圧センサーが搭載されたことで、端末の上下位置を確認して階段の上り下りなどを記録、そのデータをヘルスケアアプリと合わせて運動量計測などができるようになった。このような機能に魅力を感じられる人には、お勧めな端末だといえる。
事前予測で噂されていた、日本ユーザーが期待していたサファイアガラス液晶と防水機能は実現しなかった。最新端末では対応してほしかった防水も、割れやすい気がする液晶の強化も行われなかったのだ。
キャリアアグリゲーションもVoLTEも、全キャリアでサービスが出そろうのは今年度末あたりだといわれている。NFCは用途が発展したとしても、処理速度の関係から「モバイルSuica」のような交通対応は日本では行われないだろう。入手したからといって、大幅に生活が変わるようなインパクトはない。購入者の感想を待ってから、実際に買うかどうかを検討するくらいでいいだろう。
(文=エースラッシュ)