スマートフォンを含む携帯電話の中には、SIMカードが入っている。そのSIMカードによって、使えるキャリア回線が変わってくる仕組みだ。各キャリアは、それぞれのスマートフォンにロックをかけ、他社のSIMカードを差し込んだ場合に端末を使用できないようにして、ユーザーの流出を防いできた。
SIMロックが解除されれば、キャリアを変更しても従来の端末を使い続けることが可能になる。NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクモバイルといった大手キャリアをまたぐだけでなく、いわゆる格安SIMも利用しやすくなる。
このSIMロック解除義務化は、5月1日を境として行われる制度で、それ以前に発売された端末については適用外なため、各社対応が異なる。
例えばauの場合、4月までに発売された端末に関しては今後もSIMロック解除には応じないとしている。つまり、家に眠っている古い端末を格安SIMで復活させるといった使い方はできない。また、中古で購入した端末等についても各社で対応が分かれている。
iPhoneについては、キャリアだけでなく、製造元のアップルの対応も不透明だ。今後発売される新しいiPhoneについて、購入後何日経過すれば解除に応じるのかなど、未確定の要素がある。
大手キャリア各社は、SIMロックだけではなく、2年縛りなどの契約によってもユーザー流出を防いできた。ユーザーが新しい端末を購入する際、24カ月使い続けることを条件に、端末代金の割引を受けられる制度だ。最近は極端なキャッシュバックキャンペーンなどは行われなくなっているが、今後は割引制度もなくなることを懸念する声がある。SIMロック解除で乗り換えが自由になることで、ユーザー流出を防ぐためにキャリア各社が人気端末の価格を高く設定し、全額払い終わるまでSIMロック解除に応じないといった対応が考えられるためだ。
SIMロック解除義務化は、大手キャリアの端末を購入後、SIMロックを解除して格安SIMを使おうと考えている人や、特定の端末を販売元とは別のキャリアで使いたいと考えている人にとっては楽しみな制度だろうが、ひとつの端末を長く使い続けるユーザーにとっては、特にメリットがない制度なのかもしれない。
せめて、2年縛りに同意した場合には従来同様に割り引く、長く使うほどお得になるなどの料金プランを用意してほしいと切に願う。
(文=編集部)