普段、敬語に接していない若い従業員たちが、より“敬語っぽい”言葉を使おうという意識から、不必要に「から」や「ほう」を付け加えてしまうという説もある。一方で、これらバイト敬語は文法としては間違っていないとする説もあるが、バイト敬語を不快と感じる人は少なくないようだ。
文化庁が1995年度から日本人の国語に関する意識や理解の現状について16歳以上の男女に対して調査を行っている、「国語に関する世論調査」という調査報告書がある。2013年度の同調査では、「(バイト敬語は)気になる言葉の使い方か?」との設問で、「お会計のほう、1万円になります」「1万円からお預かりします」という言葉遣いが「気になる」と回答した割合は、それぞれが63.5%、55%となっている。
過去の同調査を見てみると、96年度では「お会計のほう~」が32.4%、「一万円から~」が38.4%だったので、バイト敬語が「気になる」と考える人が大幅に増えていることがわかる。バイト敬語が問題視され始めたのは今から20年ほど前のことで、それ以降話題になることは少ないながらも、バイト敬語がおかしいと感じる風潮は広まっているようだ。
これに対し、各企業はバイト敬語をどのように考えているのだろうか?
コンビニチェーンおよびファミリーレストランは、バイト敬語に関してどのような指導を行っているのかを聞いた。
コンビニ各社は、バイト敬語対策はしない
まず、コンビニ最大手のセブン-イレブンのお客様相談窓口に、バイト敬語に対して客からクレームがあるか聞いてみると、次のような回答があった。
「やはり年配のお客様から、正確な日本語ではないとご指摘いただくことはあります。当社のマニュアルでは『1万円から~』と言うようには指導していないのですが、他の従業員が使っている言葉遣いを真似してしまったり、他店で間違った言葉遣いで応対された結果として刷り込まれていると思われます」
また、バイト敬語を使わないようにといった指導は特に行っていないという。
「ひとつひとつの接客フレーズに関するマニュアルがあるわけではございません。ただ、新人に研修を行う際、『広く一般的に使われていて問題がない接客用語を使うことを指導するように』と、各オーナーには伝えております」(同)