「集団的自衛権は違憲」はまやかし?「米国が攻撃受けたら日本も一緒に戦闘」は正しい?
つまり、「X国の戦闘機がアメリカの空母ロナルド・レーガンを攻撃したことで、これまで日米同盟によりこの空母が目を光らせていたおかげで安全を維持できていた日本の領海にX国の潜水艦がどんどん侵入できるようになってしまい、この結果、石油も食料も輸入できず、船で国外に出ることもできなくなってしまうような明らかな危険が発生するような時」に、自衛隊を使って武力行使ができるということです。
ほかにも、存立危機事態の時に、米軍の支援ができるとか、捕虜等の拘束ができるといったことになります。
直接的に自衛隊や日本国民が攻撃を受けるわけではないのですが、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」というのは、結局は直接攻撃を受けるのと同レベルの危険というのが素直な読み方になるかと思います。
(6)私見
今回、集団的自衛権を認めるかどうかという議論のほかに、米軍などの支援をどこまで認めるかといった議論などもありますが、後者については長くなるので割愛するとして、まず前述の通り、憲法上で「自衛のための戦争」と「自衛戦争のための軍や戦力」が認められていることは間違いないでしょう。少なくともそう解釈できますし、現実問題としてもその通りでしょう。
次に、集団的自衛権ですが、今回、衆議院で可決された法案は、決して「アメリカを守るために、自衛隊で同国のロナルド・レーガンを守ろう」というものではないようです。あくまで、「日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利を守るために自衛隊でロナルド・レーガンを守ろう」というものです。
もっと、わかりやすい例を用いるならば、「紛争中の地域から避難する日本人を運んできてくれたロナルド・レーガンをX国の戦闘機が攻撃しているので、自衛隊でロナルド・レーガンを守ろう」ということです。
このように、今議論されている集団的自衛権は、国際的にいわれている「A国がX国から攻撃を受けた時に、B国が一緒になってA国を防衛する」ではなく、これを日本的に変更し、「A国がX国から攻撃を受けた時に、B国の国民等を守るためにB国が一緒になってA国を防衛する」というものですので、憲法上は問題がないと解釈できるのではないでしょうか。
(文=山岸純/弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP・パートナー弁護士)