「実は、首相官邸筋が『A氏が9月15日にシリア・トルコの国境で解放される』との情報をリークしているのです。現地の武装組織に拘束されているとみられていたA氏が解放されるということは、身代金の支払いなど解放交渉が実を結んだということでしょう」(新聞記者)
しかし、解放前にその情報をリークするということは、A氏の生命・身体の安全に悪影響を与える可能性があるばかりでなく、最悪の場合、身代金の吊り上げ要求やほかの武装組織による再拘束などにつながる危険性も秘めている。
ではなぜ、官邸がわざわざ情報をリークしているのか。
この不可解な動きについて週刊誌記者は、「安保法案の採決から国民の目をそらさせるためだろう」と指摘する。
「安保法案について、与党は16日に参院特別委員会で採決、17日に参院本会議で採決・成立の日程で調整しています。このため、マスコミの注目をなんとか安保法案からそらせたい官邸が、A氏解放の情報をリークしているのではないかと、関係者の間では囁かれています。15日という、いかにも都合のいい日付が出てきていることから、解放のタイミングをあえて法案採決直前に合わせたとか、そもそもリーク情報を流していること自体が“情報戦”ではないかと、さまざまな憶測が飛び交っています」
また、別の週刊誌記者は、こうした官邸の動きに対し憤りを見せる。
「これだけ安保法制に世間の注目が集まる中、そんな情報操作で視線をそらせようとするなど、国民をバカにしすぎでしょう。何より人命に直結する情報を政争の具としているとなれば愚の骨頂です」
ともあれ今はただ、A氏が無事に解放されることを祈るばかりだ。
(文=編集部)