今年10月から厚生年金と共済年金が一元化される。
現在の年金制度は、自営業、民間サラリーマン、公務員、私学教職員やこれらの被扶養配偶者も加入する全国民共通の基礎年金(国民年金)をベースに、被用者年金制度として民間サラリーマンが加入する厚生年金、公務員が加入する共済年金がある。その厚生年金と共済年金が統一されるのだ。
これまで、年金の受給額や保険料率において公務員が優遇されすぎているとの批判が多かったが、その差異を解消する狙いがある。保険料率や給付額については、まだしばらくは差異が残るが、一元化によって国民の不満は多少改善されるだろう。
しかし、年金制度に対する不安は尽きない。2007年には社会保険庁の年金記録がずさんに管理されていたことが発覚し、約5000万件という膨大な年金記録が詳細不明な状態になっていた。今でも1000万件近い記録が統合できずにいる。ほかにも社会保険庁は、年金記録の情報流出、職員による着服、不正手続きなど、不祥事を数多く起こし、国民の不信は根深い。そのため同庁は廃止され、年金管理は日本年金機構に引き継がれた。
それだけではなく、少子高齢化の影響を受け、現役世代が将来受給できる年金が目減りする可能性も指摘されており、年金制度自体に対する信頼も揺らいでいる。
年金資金でギャンブル?
年金制度は、加入者が納めた保険料だけでは将来的に存続が厳しい。少子高齢化は深刻な状況で、劇的な改善は見込めない。そこで年金を運用することで収益を上げている。
実は昨年10月下旬、政府は年金の運用方針を大幅に変更した。厚生年金と国民年金の資産を管理・運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、政府の方針に従って投資配分を定める資産構成割合(基本ポートフォリオ)を見直し、国内株式を従来の2倍にあたる25%に引き上げた。