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杉江弘「機長の目」

あおり運転を撲滅する“簡単な方法”…「後続車が見えたらレーンを譲る」は世界の常識

文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長

 論理的に教育すれば従順に従ってくれる日本人だからこそ、警察やメディアがもっと教育的指導を行えば、あおり運転の主な原因になっている追い越し運転のルールやマナーはすぐに改善されるのではないだろうか。

あおり運転を禁止する新たな法律は不要

 一向にあおり運転による事件がなくならないことから、新しい法律をつくることによって取り締まりを行うべきだという意見が出始めている。たしかに現在はあおり運転そのものを取り締まる法律はないが、いくら罰則を強化しても悪いことをする人間には通用しないのは、ほかの事件でも同様である。現在は「道路交通法」のなかに「通行帯違反」「車間距離保持義務違反」「急ブレーキ禁止違反」「進路変更禁止違反」「高速道路での停車違反」など、十分すぎるほど悪質ドライバーを取り締まる条文がある。

 ここで新たにあおり運転を禁止する法律を制定するとなれば、その定義から混乱し、場合によってはクラクションを鳴らしたりパッシングしただけであおり運転行為とみなされる危険もある。それらの行為は、本来ほかの車や人に対して注意を促すために必要な場合が多い。仮にこれらが拡大解釈されあおり運転行為となれば、ドライバーは使用を躊躇することになり、ほかの事故原因にもなろう。したがって、あおり運転を取り締まる新法はつくるべきではない。

 警察やメディアはあおり運転の回避法としてドライブレコーダーの設置を推奨したり、事が起こったら110番する、あるいは窓は絶対に開けないようになどとキャンペーンを繰り返している。それらはもちろん事件にならないためには必要であるが、高速道路の走り方を教育するなどのキャンペーンに力を入れてほしいものだ。あおり運転を撲滅するために、まずは世界に目を向けるべきである。

(文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長)

杉江弘/航空評論家、元日本航空機長

杉江弘/航空評論家、元日本航空機長

1946年、愛知県生まれ。1969年、慶應義塾大学法学部卒業。同年、日本航空に入社。DC-8、B747、エンブラエルE170などに乗務する。首相フライトなど政府要請による特別便の経験も多い。B747の飛行時間では世界一の1万4051(機長として1万2007)時間を記録し、2011年10月の退役までの総飛行時間(全ての機種)は2万1000時間を超える。安全推進部調査役時代には同社の重要な安全運航のポリシーの立案、推進に従事した。現在は航空問題(最近ではLCCの安全性)について解説、啓発活動を行っている。また海外での生活体験を基に日本と外国の文化の違いを解説し、日本と日本人の将来のあるべき姿などにも一石を投じている。日本エッセイスト・クラブ会員。著書多数。近著に『航空運賃の歴史と現況』(戎光祥出版)がある。
Hiroshi Sugie Official Site

Twitter:@CaptainSugie

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