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大学入試・英語民間試験が“マジであり得ない”理由…経済的&地理的格差が学歴に直結

文=編集部
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英語民間試験とはどういうものなのか

 英語民間試験で、受験生は英検やTOEFL、ベネッセコーポレーション実施の「GTEC」など7種類から受ける試験を選ぶ。それぞれの試験で「読む・聞く・話す・書く」の4技能について見るもので、原則として高3の4~12月に受けた2回までの成績が大学に提供される仕組みだ。

 問題は、「大学に提出する成績」は2回に限られているが、「試験の受験回数」には制限がないということだ。受験料は試験の難易度によって異なるが、おおむね約1万円から2万5000円かかる。つまり家庭の経済力によって期間中、何度でも挑戦できる受験生と、2回受験するのも厳しい生徒に分かれるのだ。

 また民間試験なので、会場はおおむね各地の主要都市に限られる。過疎地の生徒は、受験するために交通費や宿泊費が多くかかることになる。

僻地の高校生はどうなるのか

 今回の民間試験を活用する場合、僻地の高校生はどうなるのか取材した。本州最北に位置する青森県下北半島の県立高校1年の男子生徒は次のように語る。

「もともと入試で都会に出るのは覚悟していましたけど、英語試験だけのために何度も地元を出るのはちょっと・・・。お金もそうですけど、とにかく目的地までの移動距離と時間がやばいです」

 彼が仮に民間試験で導入予定のTOEFLを受けるとする。これまで、青森県を含む東北地方の会場は仙台市と秋田市の2カ所だ。新幹線の利便性の高い仙台市での受験を想定してみると次のようになる。

 最寄りのバス停まで家族の車で15分→半島に一本しかない鉄道JR大湊線の大湊駅までバスで40分→大湊駅発の列車は1時間に1本間隔。途中、青い森鉄道・野辺地駅で乗り換えてJR八戸駅まで1時間45分→東北新幹線に乗車。最速の「はやぶさ」で仙台まで約70分。

 所要時間は待ち時間込みで4時間半。交通費は約1万4000円だった。当然、受験当日に家を出ても開始時間に間に合わせるのは不可能なので、前日泊が確実になる。仮に文科省が進める全47都道府県で実施する民間試験でも、会場はおそらく県庁所在地の青森市だ。それでも移動時間は3時間半、交通費は約4000円。多少軽減されるが、一日の公共交通機関の本数から考えると、結局、前泊は必要になりそうだという。

「いや、マジであり得ないですね。センター試験みたいに1回だったら気合でできるかもしれませんけど、受験は英語だけじゃないですし。これだけそんなに時間とお金をかけて何回も挑戦するのは無理です。受験生ファーストで考えてもらえないんでしょうか」(前出の男子高校生)

BusinessJournal編集部

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