北朝鮮が4回目の核実験に続いて、今度は弾道ミサイルを発射するとの動きがあり、政府は1月29日までにミサイルに対する破壊措置命令を下したと報じられた。最近はイスラム国(IS)などによるテロの脅威に注目が集まっていたが、あらためて北朝鮮は変わらぬ脅威であることが再認識されている。
北朝鮮がどのようなミサイルを発射し、日本にどういう影響があるのか、防衛省関係者はこう分析する。
「北朝鮮が発射するとみられているのは、アメリカ本土まで届く射程1万キロメートルの『テポドン2号改』です。この大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、地上にあるミサイル発射場からしか発射できませんので、黄海側にある東倉里(トンチャンリ)発射場から発射される可能性があります。北朝鮮は核兵器のプラットホームとしてのミサイルを開発していますが、弾道ミサイルと衛星打ち上げロケットはまったく同じ構造ですから、今回も『人工衛星打ち上げ』と強弁するはずです」
一部報道によれば、東倉里発射場に車両や作業員の姿が確認され、平壌近くのミサイル工場からすでにミサイルが運び込まれているともいう。
「ミサイルが運び込まれたかどうかは明言することができないのですが、発射場にミサイルを運び込めば、数日で発射することは可能です。北朝鮮は2009年以降、弾道ミサイルの発射を『人工衛星打ち上げ』と主張しているため、事前に国際機関に対して警報を出しています。これは3段式にミサイルがそれぞれ切り離されて海面に落下するため、海域を指定して航空機や船舶に警報を発するものです。この警報はインターネットでも見ることが可能ですが、北朝鮮はまだ出してません」(同)
今回の弾道ミサイル発射については、「兆候がある」という段階で大きく報道されている。北朝鮮は日米韓から軍事的な圧力を受けていると認識しており、日本が先に動くことは、北朝鮮に発射の口実を与えることにもなりかねないのではないか。
「北朝鮮が警告を出してから自衛隊が動くのでは遅すぎます。イージス艦や対空ミサイル『ペトリオット』を展開させる時間も必要ですし、何よりも北朝鮮は予告や警告なしに発射する可能性があります。1月6日の水爆実験の例もありますので、兆候を得たならば速やかに対処する必要があるのです。そして、最も警戒しなければならないのは、潜水艦からの弾道ミサイル(SLBM)発射です。北朝鮮は昨年6月と12月に続けざまにSLBM発射実験を行っていますので、可能性は十分に考えられます」(同)