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新型肺炎、東京五輪中止も現実味…後手後手の安倍政権と組織委の責任論も

文=編集部
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新型ウイルス肺炎が世界に拡大 横浜港にクルーズ船が停泊(写真:Keizo Mori/アフロ)

 安倍晋三首相周辺は新型コロナウイルスによる肺炎をひそかに“神風邪”と呼んで、当初ほくそ笑んでいたという。「桜を見る会」や「IR汚職」などの問題から世論の関心を逸らせられるからだ。

 しかし、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で感染者が連日増え続け、日本政府の対応に疑問や批判が高まると、“神風邪”はパタリとやんだ。直近の世論調査で内閣支持率は軒並み下落。新型コロナ対応については、政権に好意的な読売新聞の調査でも「評価しない」が52%で、「評価する」の36%を上回った。

 一転して安倍首相が逆風に晒される一方、小池百合子東京都知事神には神風が吹いている。6月18日告示、7月5日投開票が予定されている都知事選において、ますます小池氏が有利になるというのだ。

「新型コロナの感染拡大はいつまで続くか、まったく見当がつかない。早くても終息は4月か5月というから、都知事選への関心は高まらないし、選挙なんてやっている場合じゃない、という空気が漂っている。そもそも自民党は、小池知事に対抗できる候補者のメドがまったく立っていない」(自民党関係者)

 新型コロナウイルスの流行が長引けば、東京五輪・パラリンピックの開催が延期や中止になる可能性も出てきかねないが、その責任は小池氏にはあまり向かないだろう。IOC(国際オリンピック委員会)が五輪のマラソンと競歩を札幌での開催に変更することを決めた際、小池氏は主催都市の知事にもかかわらず、変更を知らされたのは最後だった。大会組織委員会の森喜朗会長と犬猿の仲とはいえ、そのひどい仕打ちは世論の同情を買ったものだった。

「五輪の延期や中止を判断するのは東京都ではなくIOCだろう。『選手や観客の健康を考え』ということになるから、批判は新型コロナ対策が後手後手の安倍政権や組織委に向かうのではないか。むしろ、さまざまな後始末のために小池知事が2期目もやらなければならない、という主張に説得力が出る」(野党関係者)

自民も野党も有力候補不在

 2月18日、東京都内のホテルで、自民党の二階俊博幹事長と東京都連の幹部が会談した。都議会議員で自民党東京都連の高島直樹幹事長と、“東京都連のドン”と呼ばれた前都議の内田茂最高顧問だ。都知事選に向けた自民党の対応を協議したようだが、結論は出なかったという。

「二階幹事長は『もう小池でいいじゃないか』という考え。しかし、東京都連は小池氏に乗るわけにはいかない。都知事選の1年後の来夏に都議選があるからです。3年前の都議選で大惨敗した自民党は、次は是が非でも都議会第1党に復帰し、小池氏与党の都民ファーストの会から主導権を奪い返したい。そのためには、負け戦覚悟でも小池氏と戦う姿勢を見せる必要があると考えている。このまま有力候補が見つからなければ、現職の若手都議を擁立して戦うという話も出ています」(自民党関係者)

 一方の野党。立憲民主党の長妻昭選対委員長がテレビ番組で、れいわ新選組の山本太郎代表を野党統一候補として擁立する可能性に言及。「十分検討の余地はある」と語った。山本氏は衆院選に向けて「消費税5%減税」で野党共闘を呼び掛けている。立憲民主はそれを無視しているのに、「都知事選なら検討」とは不可解な話だ。立憲民主として有力候補が不在なうえ、現状、都知事選のことをまともに考えていない裏返しだろう。

「自民党が負け戦でも候補者を立ててきた場合、野党はどうするのか。衆院選は都知事選とその翌年の都議選の間に行われる可能性が高い。衆院選を睨んで、小池氏や都民ファーストとの関係をどうするのか。共闘はあり得るのか。さまざまな可能性が考えられる」(野党関係者)

 いずれにしろ、小池氏は高みの見物、ということだ。

 もっとも、こうした既成政党の党利党略に嫌気をさした有権者を狙って、完全無党派の著名人が出てくれば、一気にブームをさらう可能性もある。1995年の都知事選で勝利した故・青島幸男は告示1カ月前を切ってからの出馬表明だった。

(文=編集部)

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