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東京オリンピックも中止か、新型コロナ拡大でイベント中止が続出…売上3割減の企業も

文=昼間たかし/ルポライター、著作家
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「Getty Images」より

コロナウイルス不況」--数年後には、そんな言葉で語られるようになるのだろうか。コロナウイルスの感染拡大は日本各地でとどまるところを知らない。感染経路を追い切れない感染者の発見も相次いでおり、もはやどこで感染するのかわからないという状況だ。

 政府の広報やワイドショーなどでは繰り返し、体調不良の場合には、すぐに休養を取るよう薦められているが、それはあくまで絵空事だ。多くの会社では仕事がギリギリの人数で回っているため、簡単に休むことができない。派遣社員や契約社員に至っては、給料が減って生活できなくなるので、やはりなかなか休むことができない。そんな日本の社会構造が感染拡大を助長しているという指摘もある。いずれにせよ、感染は今後さらに拡大し、経済活動に影響を及ぼしていくだろう。

 感染拡大の影響が如実に現れているのは、各種の催しである。2月20日には政府も多くの人が集まる大規模イベントについては開催の是非をあらためて検討するよう呼びかけた。23日の天皇誕生日の一般参賀という国家行事すらも中止となった。

 2月27日からパシフィコ横浜で開催予定だったカメラメーカーの業界団体・カメラ映像機器工業会が主催する「CP+2020」は、いち早く中止を決定。感染拡大が懸念されていた6日時点では「計画通り開催予定」としていたものの、14日になり中止を決めた。この催しは世界から業界関係者やカメラ愛好家など約7万人が集まり、各メーカーが新製品を発表する、業界にとってもっとも重要な見本市のひとつだ。それが早期の中止を決断したことは関係者以外からも注目された。

 これに続いて3月1日開催予定だった東京マラソンが、一般参加者の出走を中止して開催することを決定。

 こうした動きは全国各地に広がっている。大阪府では、3月15日に開催予定だった大阪万博50周年記念の式典を中止するとともに、3月20日までの間、府が主催する242件の催しを原則として中止や延期することを決めた。宮城県では2月22日から開催予定だった「第12回 東北モーターショー in 仙台 2020」の中止を決定。岡山県では、2月22日に備前市日生町で開催予定だった恒例の「かきまつり」が中止になっている。このほか、アイドルのライブやオフ会から政治家の支援者向け集会まで、今月から3月上旬にかけての催しが次々と中止を決めているのだ。

東京オリンピックのために開催期間や場所の変更をした展示会

 これからゴールデンウィークの時期にかけて、国内ではさまざまな業界の見本市などが目白押しだ。今年は東京オリンピック・パラリンピック開催のために、日本最大級の展示場である東京都江東区の東京ビッグサイトが約5カ月間、使用できない。そのため、使用停止によって損害を被る展示会業界の要望もあり、りんかい線・青海駅前に仮設展示棟を建設し、一部の展示会をそちらで開催するなど使用停止期間の影響を最小限に抑えたという経緯がある。

 それでも、どうしても展示会を開催できない期間があるために、多くの主催者は開催時期の前倒しや地方開催による対応を予定していた。たとえば、毎年のべ60万人余りのマンガ・アニメファンが集まる「コミックマーケット」は、ほかの同種の催しと共にゴールデンウィーク中に開催することになっている。

 3月上旬までの催しは現段階で開催の可否を決断せざるを得ないが、それ以降の催しはコロナウイルスが終息するのかまったく見通しが立たないため“生殺し”の状態だ。そんな状況に追い込まれる一因となった東京オリンピックに対する恨み節も、再び聞かれるようになっている。

 ただ、中止が相次いでいる一方で、予定通りの開催に踏み切っている行事も多い。行政でも川崎市の福田紀彦市長は「感染は県内発生早期で、イベントの自粛や制限は必要ない」として、2月22日に市の消防局が行う定期演奏会を予定通り開くとしている。

 中止か開催か、難しい決断を迫られるなかで開催を決めている主催者は、どのようにしてイベントに臨んでいるのか。展示会・見本市の業界団体である日本展示会協会は、次のように話す。

「多くの主催者は、手洗い消毒液の設置、救護室の設置、看護師の常駐などは当然として、会場入り口でマスクを配付したり、サーモグラフィーを設置するなどの態勢を整えて、予定どおり展示会が実施されているというのが現在の一般的状況です」

 協会では安全性問題検討ワーキンググループを立ち上げ、コロナウイルス対策としてイベント主催者を対象に緊急アンケートを準備している。今月中に回収し、今後の対策に利用する予定のようだ。

 開催か中止かの判断が難しいなか、東京オリンピックのために開催時期や場所が従前から変更したことが、混乱に拍車をかけている。とりわけ中小企業が多い展示会場のディスプレイや印刷などの関連業者は被る被害も大きい。たとえば、前述のコミックマーケットなどにかかわる同人誌印刷会社は、東京オリンピックによりイベント開催が減るために、今年は10%あまり売り上げが減少すると見込んでいた。それが、コロナウイルスの影響を受けて、さらに落ち込む恐れがあるという。

「仮に3月から5月までのすべての催しが中止になるとすると、関係する会社は年間売り上げの30%が減少するのではないかと予測しています」(印刷業者)

 ほかの業種でも、同様の大幅な売り上げ減少も予測されている。東京オリンピックのあおりを受けているところに加えて、まさかのコロナウイルスによる打撃。それが本当に襲いかかってくるのか、まったく予測ができないのかが余計に気をもむところだ。
(文=昼間たかし/ルポライター、著作家)

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