新型コロナウイルス感染拡大をめぐるネット上の舌禍事件がまた起きたようだ。国土交通省政務官の佐々木紀衆議院議員(石川2区)は4日、自身のTwitterアカウントで新型コロナウイルスの感染拡大に関し、「国のせいにしないでくださいね」と、責任のがれとも思える投稿を行い波紋が広がっている。
「不適切でした」としつつも自論は変えず
佐々木氏は5日、問題の書き込みを削除。新たに「不適切でした」とツイートし、「国だけの責任にしないでくださいね」と元の文言を修正して発信した。これに対しTwitter上では以下のような批判が殺到し、炎上している。
「『責任逃れ』と言うより、今の時期、こういう発言したら人々がどう感じるか想像する力も、政府にどんな影響及ぼすか考える力も欠如している。これでどうやって政治ができんのか!?」(原文ママ、以下同)
「何のために税金と権力を使えるようになってるのか、考えたことないのか、こいつ。権限と責任はセットなんだよ」
「国ってのは『保証し最終的に責任取るための機関』なんだぜ為政者?」
佐々木氏は森喜朗元首相の後継者?
佐々木氏は森喜朗元首相と同郷の石川県能美市出身。東北大学法学部を卒業後、起業。その後、石川県にUターンし父が経営するビル管理会社に入社した。2010年に小松青年会議所理事長、11年に日本青年会議所石川ブロック協議会会長に就任するなど、青年会議所の活動で頭角を現した人物だ。
12年9月に、次期衆院選不出馬を表明した森氏の後継候補として自民党の公募で選出され、同年12月の衆院選で初当選した。ちなみに12年12月の選挙で初当選した自民党議員たちは舌禍事件とゴシップが多く、永田町では「魔の3回生」と呼ばれる。カジノを含む統合型リゾート(IR)事業に絡む汚職事件で起訴された秋元司衆院議員(現在は離党)や、知人女性への不適切な行為が発覚して19年3月に議員辞職した田畑毅元衆議院議員などがいる。
与党関係者は次のように嘆息する。
「また『魔の3回生』の逸話が増えましたね。地盤を継いだということで、妙に森さんを意識した言動が目に付くようですが、この時期に不用意な発言だと思います。日本青年会議所と生長の家は、自民党の大切な応援団です。ちなみに森さんも小松青年会議所のOBです。正統な後継者ということなのでしょう。そもそも、佐々木さんが初当選された2012年12月衆院選では、『自民党のこれまでの驕りを自省すること』を打ち出すよう党内で見解が一致し、多くのベテランが初心に帰って“ドブ板”をやって勝ち取った選挙でした。
当時、先輩議員の背中を見ていなかったのでしょうか。大物議員が議席を失い、旧民主党に政権を奪取されたことを踏まえて、『反省すべきことを反省し、謙虚に有権者の声を聞け』と大号令がかかっていたころが懐かしくなります。
ある意味で、旧民主党政権への批判的な世論やベテラン議員たちの努力にフリーライドして当選してしまったから、自制がきかないのでしょうか。次の衆院選はどう考えても、厳しい戦いになります。ビッグマウスだけで逆風の選挙に勝てるほど政治の世界は甘くないということに、早く気がついてくれることを祈るのみです」
佐々木議員は次の選挙でも「コロナの件は国のせいにしないでください」と呼びかけるつもりなのだろうか。
(文=編集部)