新型コロナウイルスの感染拡大を受け7日、政府は改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出した。すでに国や自治体は外出の自粛を呼び掛けているが、なかでも感染者数が多い東京都は6日、緊急事態宣言が発令された場合として、医療機関での受診、生活必需品の買い出し、勤務先への出勤など「生活に必要な場合」以外の外出を自粛するよう要請したほか、学校、学習塾、映画館、ナイトクラブ、パチンコ店などを具体的が業種名をあげて休業を要請する意向を示すなど、踏み込んだ対応を見せている。
緊急事態宣言の発出を受け、9日放送のテレビ各局の朝の情報番組はこぞってこのテーマを取り上げるなか、新型コロナをめぐる政府の対応へ批判的なスタンスが目立つことで知られる情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)では、出演者たちの熱い議論が交わされた。
7日と8日に放送された同番組では、コメンテーターの玉川徹氏と政治ジャーナリストの田崎史郎氏が激しい論戦を繰り広げたが、この日も2人の議論は対立。緊急事態宣言の発令が遅いと指摘する玉川氏に対し、田崎氏は、強引に発令すれば批判や混乱を招く懸念があると政府の立場を説明。すると玉川氏は、国民の反発が出るか出ないかが大切だったのかと問いただした。
また、新型コロナウイルスの治療薬として期待されている新型インフルエンザの治療薬「アビガン」について、安倍晋三首相は7日の記者会見で、すでに臨床試験で120以上の投与例があり、備蓄を200万人分に拡大すると説明した件もテーマに。元国立感染症研究所研究員で白鴎大学教授の岡田晴恵氏が、病床数が不足するなかで軽症者にアビガンを投与することができるようになれば重症者を減らせられる可能性があるとの見解を示すと、田崎氏は、首相官邸は積極的だが厚労省が慎重な姿勢だと説明した。
番組内では、熱くなった田崎氏が玉川氏に向かって「短絡的」と発言する場面もみられたが、インターネット上では次のような声が上がっている。
「モーニングショーの最大の見所 田崎『玉川さんのように短絡的な考えで行ければ楽ですけどそうはいかないので』」
「番組中堂々と『玉川さんの様に短絡的に〜』って発言。玉川さん『正論を言ってる』と大人の対応。
「玉川君に反論したいだけの発言も良くない 今朝はとうとう『玉川さんのように短絡的な・・』と どっちが?と言い返したい」
「スシロー。政府にとって、というか安倍ちゃんにとって都合の悪い事を言われるとムキになって擁護してるけど」
「政府広報の顔をして専門家が言ってるんですからとか厚労省が消極的なんですと責任を押しつけたり…田崎スシローっていったいナニモノなんだよ」
「田崎さん もはやジャーナリストでも何でもないな 安倍政権広報担当」
テレビが“あえて”田崎氏を起用する理由?
田崎氏といえば、安倍首相とは頻繁に会食などを共にするなど首相と太いパイプを持ち、メディアでも安倍政権を擁護する場面が多いため、テレビ出演のたびにネット上で批判の声が多数あがる光景がみられるが、テレビ局は“あえて”田崎氏を起用しているのではないかという声も出始めている。
「テレ朝は安倍政権のダメダメぶりを浮き彫りにする目的で敢えてこの人を出しているんだということに気づいた」
「田崎は出すべきです。政府にべったりで政権擁護をしてる人間のおかしさ、政府自体のおかしさがすごくよく分かる」
「なんで田崎史郎さん呼ぶのって思っていたけど、この方が喋れば喋るほど、本人と代弁されてる政権がおかしい事がよくわかるから良いのかもしれません」
「田崎さんが小池さんや玉川さんを攻撃すればするほど、政府の『責任取りたくない、補償したくない』姿勢が露呈されていく」
「田崎史郎、でも言ってることめちゃくちゃだし、それは国の代弁なわけだし、やはり国がヤバすぎ」
「最近のモーニングショー、なんで田崎さんの起用が多くなったのか疑問だったけどなんだかわかってきた。彼のふわふわとした論理破綻解説を玉川さんと岡田先生が次々と指摘。追い込まれて口ごもって黙る政府代弁者といわれるジャーナリスト」
「モーニングショーは、田崎氏を政府のスポークスマンとして呼んでるのでしょうが、御本人のあまりにハマった役割遂行には感服しました。お蔭様で政府の支離滅裂ぶりがよく分かりました」
こうした声について、テレビ局関係者は語る。
「番組が田崎氏を起用する一番の理由は単純で、玉川氏や岡田氏との丁々発止の言い合いが受けて視聴率を稼げるからでしょう。また、どうしてもテレビの情報番組や報道番組は政権批判一辺倒になりがちなので、田崎氏のように堂々と政権よりのスタンスで発言してくれる人を出演させれば、番組として一応は“バランスを取っている”という体裁を保てますし、何より議論が盛り上がるという面もあるでしょう」
田崎氏の今後の発言が注目される。
(文=編集部)