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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

財務省、必死の消費増税工作も敗北…安倍首相の「一強」加速か

文=渡邉哲也/経済評論家

「アベノミクスの失敗」としか言えない野党

 さて、衆参ダブル選挙こそなくなったが、7月10日には参議院議員選挙が行われる。民進党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの野党による共闘が話題になっているが、野党がコンセンサスを得られるものは、安全保障(集団的自衛権)か増税反対の問題しかなかった。

 しかし、集団的自衛権については、国民の間でも反対の声は薄れてきている。また、東シナ海や南シナ海の問題を取り上げた伊勢志摩サミットの首脳宣言や北朝鮮の動向を見てもわかるとおり、集団的安全保障が重視されているなかで、日本がそのルールから降りることは難しい。今さら、この問題を取り上げたところで、大きく票に結びつかないのは確かである。

 唯一、票が取れるとすれば、消費税増税の再延期を求めるという点だったが、民進党が増税再延期を求めた後、安倍首相が伊勢志摩サミットで再延期につながる発言を行い、その後正式に発表された。

 そのため、民進党も増税再延期については「アベノミクスの失敗だ」という表現でしか批判することができず、「失敗」と言うだけで代案を出せない以上、消費税問題が票につながる要素は皆無だろう。ルサンチマンによる与党批判の票は一定数集まるかもしれないが、それが大きな勢力になる可能性は低いといえる。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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