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コロナ拡大から10カ月、“感染しない方法”“感染しない人の共通点”がみえてきた

文=明石昇二郎/ルポライター
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「Getty Images」より

人の「移動」と「接触」が感染症を広げる

 11月17日に米国ジョンズ・ホプキンス大学のウェブサイトを確認したところ、米国では11月13日、新型コロナウイルスの新規感染者数が17万7224人に達したのだという。それも、たった1日で。ちなみに、日本における今年1月から11月13日までの総感染者数は11万5528人。現在の米国はこの数字をたった1日で上回ってしまうのである。米国の感染状況がいかに凄まじく深刻であるかを端的に物語っている数字だ。

 その米国では最近、一種のお祭り騒ぎでもある一大イベント「大統領選挙」が全土で繰り広げられたばかり。民主党のジョー・バイデン氏が勝利宣言をした11月7日が12万8468人、同11日が14万3231人、12日が16万0786人、そして同13日が前掲のとおり17万7224人と、悪化の加速度は増している。現在の急激かつ大規模な感染拡大を引き起こしている要因の一つは、恐らくこの“民主主義のお祭り”なのだろう。

 とすれば、あと2週間もすれば米国の新規感染者数は減少に転じるかもしれない。しかし、米国はこの後、11月下旬に感謝祭(Thanksgiving Day、11月26日の木曜日)が控えており、帰省する人が増えることで再び感染が拡大する恐れもある。

 一方、規模は2桁違うものの、日本でも新型コロナウイルスの感染拡大がぶり返している。NHKのまとめによれば、11月12日の新規感染者数は1660人、同13日は1705人、同14日は1735人、そして同18日は2201人と、過去最多記録を連日更新し続けており、すでに感染拡大の「第3波」が到来したとみられる。同19日には東京都で、これまでで最多となる534人の新規感染者が確認された。

 では、米国のような「お祭り騒ぎ」も「一大イベント」も行なわれていない日本における感染再拡大の要因は、いったい何なのだろう。

インフルは防いでいるのに新型コロナは防げない?

 新型コロナウイルスの感染が拡大する最も大きな要因は、人々の「移動」と「接触」(あるいは接近)である。それが「感染症」の特徴であり、つまり人々が「移動」や「接触」をやめれば、感染拡大は止まるし、「移動」や「接触」を控えれば、感染拡大も控えめになる。これこそが感染症対策を考える上でのイロハである。そして、その感染症が命を脅かすほど危険なものである場合、感染に対する恐怖心を生み出し、感染した者への差別を呼び起こす。難儀なことだ。

 ところで今年の秋は、日本でインフルエンザが全然流行していないのだという。これから先、まったく流行しないという保証はないものの、とにかく少ない。例年であれば、この時期には数百人から4000人程度のインフルエンザ感染報告があるのだが、NHKが11月13日に報じたところによると、11月8日までの1週間に厚生労働省に報告のあったインフルエンザ感染者数は、全国でたったの24人。その前の週は32人だった。例年と比べ、2桁も少ない。

 これはひとえに、皆がマメに感染症対策に努めているおかげであり、新型コロナウイルスに感染したくないとの思いが、インフルエンザウイルスへの感染も同時に防いでいるわけだ。

 それにもかかわらず、肝心の新型コロナウイルスの感染拡大は防げていない。新型コロナウイルスの感染力は別格――ということなのかもしれないし、別に理由があるのかもしれない。

 今年の春先に襲来した感染「第1波」の際、都道府県知事やテレビのニュースは「ステイホーム」や「東京アラート(警報)」「県境をまたぐ旅行の自粛」といった類いの“脅し文句”を繰り返しがなり立てていた。だが、最近はとんと聞かれなくなった。「第1波」では感染拡大の収束に成功していることを考えると、こうした“脅し”が想像以上に感染症対策として有効なのかもしれない。ただし、皆が春先と同様に素直に従えば、という条件付きの話ではあるが。

 国や自治体が取り組んできた感染症対策には「クラスター」対策もある。しかしこれが今、暗礁に乗り上げているとの報道も耳にする。見逃してしまい、潰し損ねたクラスター(感染者の集団)が全国津々浦々で同時多発的に出現し、その結果、感染経路が不明の「市中感染」が増大しているという。「クラスターを見つけたら隔離して潰す」ことを最重視してきた我が国の感染症対策は、もはや通用しなくなりつつある。冬の「寒さ」と「乾燥」がいよいよ本番に差し掛かろうという最中、最悪のタイミングで感染爆発が起きる恐れも指摘されている。

やれることは、すべてやってみる

 でも、日本における最大の感染者発生地帯である東京に暮らす筆者は、いまだ一度も新型コロナウイルスに感染していない。筆者の家族や友人たちの間でも、感染者は出ていない。外出時のマスク装着はもちろん、手洗いの励行にも取り組んではいるが、この際、なぜ自分たちは2月頃から11月までの約10カ月もの間、感染を防げているのかを検証してみることにした。

【理由その1 人と会わなく(会えなく)なった】

 会食をする機会がよくある友人や仕事仲間たちにも聞いたところ、日本で新型コロナウイルス感染症が流行し始めて以降、外食を極力控えているとのことだった。特に酒を飲みながらの会食をやめているという。他には、

(1)電車やバス等の公共交通機関の利用を減らし、移動はなるべく自家用車を利用する。

(2)不特定多数が集まる場所に近づかない。

(3)仕事の打ち合わせは可能な限りWEB会議にする。

といったところだろうか。筆者の場合、夏を過ぎるまでは出張も控えていた。そうした日々の積み重ねのおかげで、感染を免れているのだと思う。

 となれば、そうした生活を当面続けていくほかないのかもしれない。事実として、ここまで感染を防ぐことができているのだから、それに勝る根拠はない。ただし、このおかげで「仕事が減る」という大きなデメリットがあるのも事実である。

【理由その2 同居家族から感染者を出さない】

 筆者が最後にインフルエンザに感染したのは、今から4年ほど前のことだ。この際はまず家族が感染し、その後うつされていた。日本特有の手狭な“ウサギ小屋”マンションに暮らす筆者にとって、家族内感染を防ぐことは事実上、不可能だろう。ちなみに、筆者の仕事場では5月以降、従業員の出勤日を大幅に減らし、一時は「リモートワーク」にしていた。

【理由その3 咳が聞こえたら、その場から素早く離れる】

 インフルエンザにかかる以前に重い咳風邪をひいたのは、その2年前、ある整形外科医院を受診したためだった。待合室に、激しく咳込む初老の男性が2人いて、さらには2人ともマスクをしていなかった。手で覆おうともしないのである。マスクを持参していなかったことを激しく後悔したものの、時すでに遅く、翌日から同様の咳に見舞わる羽目になる。

 以来、ジャケットの胸ポケットには季節を問わず、必ず不織布のマスクを数枚忍ばせるようになった。さまざまな患者が必然的に集まってくる病院を訪れた際には、受診後、装着していたマスクをすぐさま捨てて新しいものに交換するよう心掛けている。

 今から2年前の冬、筆者は胃がんが見つかり、腹腔鏡手術で患部を摘出し、3週間ほど入院したことがある。この際もマスクを何枚も持参した。風邪でもひこうものなら咳をするたびに傷口に激痛が走り、必要以上の苦しみを味わることになるからだ。

 閉口したのは、他の入院患者の見舞客の中に、マスクをせずに咳込む輩がいたことである。こうした人物は暴行罪に問われるべきであり、軽い殺意さえ覚えた――ということを、昨日のことのように思い出す。あまりの腹立たしさから、「咳」が聞こえると瞬間的にその反対方向を向く癖がついてしまったほどだ。でも、そのおかげか入院中は一度も風邪をひくことなく済んだ。

【おまけ】

 東京都知事の小池百合子氏は「第1波」の際、「ステイホーム」やら「3密を避ける」やら「買い物は3日に1回程度」などの感染症対策を打ち出していた。「ステイホーム」に関しては家呑みを増やし、「3密を避ける」ことも心掛けてはいた。

 しかし、「買い物は3日に1回程度」というお達しだけは守らなかった。納豆やトイレットペーパーや手洗い洗剤の買いだめに走ることなどバカバカしかったからだ。でも、感染しなかった。

感染に怯えるのではなく、「感染予備軍」として安静に過ごす

 この間、筆者がよく利用してきた飲食店や酒場が、次々と閉店に追い込まれている。友人と待ち合わせをした当日、閉店したのを知った店もあった。どこも美味しい店だったので、悔しくてならない。仕事で付き合いのあった某旅行代理店にしても、これから社員のリストラに着手すると報じられている。ジャーナリストとしての仕事を通じて彼らに何の救いの手も差し延べられないのが、無念でならない。

 最近、いくつかのワクチン開発が成功に近づきつつあるとの報道が目白押しだが、筆者はワクチンには頼らないつもりだ。なぜか。

 日本政府が製薬会社と契約して確保しているとされるワクチンには数種類あり、それぞれ製造方法が異なる。どれか一つのワクチンだけで、日本の全国民に行き渡る分を確保しているものはなく、恐らく、「ワクチンにはA、B、Cの3種類がありますが、あなたに摂取するのはワクチンAです」 と、なかば強制的に割り振られるのだろう。複数ある中から各自どれかを選んで摂取できるわけではなさそうだ。ひょっとすると、どのようにして製造された何の会社のワクチンかも知らされないまま注射されるのかもしれない。たとえタダで摂取できるのだとしても、これは困る。生ワクチンならまだしも、遺伝子を操作した類いの奴は、御免被りたい。新型コロナウイルスへの感染は防げるかもしれないし、万一感染しても軽く済むのかもしれないが、未知の厄介な病や健康リスクまで抱え込む恐れを否定できないからだ。

 最後に、これまで語られている「感染症対策」とは違った視点からの提案をして、筆を置くことにしたい。

 先にも触れたように、感染「第1波」の際、都道府県知事までが“脅し文句”を使ったり、通称「自粛警察」が出現し、パチンコ店や飲食店に対して営業の自粛を要求したり、店に対する脅迫行為や営業妨害に及ぶことさえあったのは、自分が感染するのが怖くて仕方ない――からである。

 感染経路が追えない市中感染が広がり始め、「無症状患者」がそこかしこで見つかり、ついに日本でも感染爆発の恐れが高まってきた今、ひたすら感染を怖がるのではなく、私たちは皆「すでに新型コロナウイルスに感染しているのだ」という意識の下、行動することをお勧めする。つまり、感染防御よりも他人に感染させないことのほうを重視しながら、日々の生活をおくるよう心掛けるのである。

 自分が風邪をひいた時のことを思い出してほしい。免疫力や抵抗力をつけるために栄養価の高い食事を摂る。筆者の場合、風邪をひいた時は決まって鍋焼きうどんかカレーうどんを食べて大汗をかくようにしている。すると、2~3日で熱は収まり、咳も止まる。ウチの従業員の場合、風邪をひいた時はコンビニで少し高価なアイスクリームやプリンを買って自身をいたわってあげるのだという。

 普段よりは多めの睡眠をとり、安静にして過ごす。「不要不急」の出勤や通学を控え、万一自覚症状があれば外出しない。不特定多数が集まるところにはあえて出かけないようにする。咳をする際にはマスクだけではなく手や肘で口を覆うようにして、飛沫が飛び散らないようにする。

 実際、個人でできる範囲の「他人に感染させないための努力」とは、こうしたことの積み重ねであり、いわば「自分を大切にする」ことと変わらない。感染に怯えて過ごすより、よほど健康的だし、精神衛生上もいい。皆が率先して取り組めば、間違いなく「感染拡大」への強力なブレーキとなるだろう。

(文=明石昇二郎/ルポライター)

明石昇二郎/ルポライター、ルポルタージュ研究所代表

明石昇二郎/ルポライター、ルポルタージュ研究所代表

1985年東洋大学社会学部応用社会学科マスコミ学専攻卒業。


1987年『朝日ジャーナル』に青森県六ヶ所村の「核燃料サイクル基地」計画を巡るルポを発表し、ルポライターとしてデビュー。その後、『技術と人間』『フライデー』『週刊プレイボーイ』『週刊現代』『サンデー毎日』『週刊金曜日』『週刊朝日』『世界』などで執筆活動。


ルポの対象とするテーマは、原子力発電、食品公害、著作権など多岐にわたる。築地市場や津軽海峡のマグロにも詳しい。


フリーのテレビディレクターとしても活動し、1994年日本テレビ・ニュースプラス1特集「ニッポン紛争地図」で民放連盟賞受賞。


ルポタージュ研究所

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