7月2日に投開票された東京都議会議員選挙は、小池百合子都知事が代表を務めていた都民ファーストの会(以下、都民ファ)が圧勝した。追加公認も含めると、都民ファは55議席を獲得。都議会第一党へと躍進した。
一方、これまで都議会第一党だった自民党は、現有議席の半分も獲得できないという歴史的大惨敗に終わった。敗戦の責任を取り、下村博文都連会長は引責辞任を表明している。
自民党が崩壊する一方、国政で連立を組む公明党は擁立した候補者全員を当選させている。23議席を獲得し、議席数で自民党と肩を並べた。都議会公明党にとって、大勝利ともいえる結果だろう。
勝因としては、自民党に逆風が吹き荒れた都議選で、これまで都議会でも連立を組んでいた自民党を裏切り、都民ファについたことが挙げられる。選挙中、小池都知事はさかんに公明党候補者の応援に入った。むしろ、都民ファの候補者よりも熱心に応援していたといっても過言ではない。
それを象徴していたのが、今回は定数が4から3に減少した北区だ。北区は現職都議4人のうち自民党の候補者だけが落選している。自民党や民進党の関係者も「いまや国政も地方選も公明党の協力なしには戦えない」と話す。これまで、国政では自民党と連立を組んでいた公明党だが、支持母体とされる創価学会は集団的自衛権の行使を可能にする安保法制や共謀罪などに一貫して反対していた。それにもかかわらず、公明党は支持母体の創価学会の意向を無視し、自民党の補完勢力であり続けた。
今回の都議選で、公明党は自民党から離れて都民ファに味方した。一見すると、ようやく公明党が創価学会の声を受け入れたように見えるが、決して創価学会の意向を反映したからではない。実際、いまだ公明党は国政で自民党との連立を継続しており、それを解消する動きはみられない。
山口那津男代表からは憲法改正に慎重な発言がみられるが、集団的自衛権の行使容認や共謀罪へ賛成したことについての言及はない。“平和と福祉の党”を掲げてきた公明党だが、もはやそうした理念などは微塵もないようだ。