22日に投開票された衆院選では、自民党・公明党連立与党が全議席の3分の2を獲得したが、安倍晋三首相や山口那津男公明党代表の顔色はまったくさえない。「枝野幸男氏が党首を務める立憲民主党が野党第一党になって、誰よりも脅威に感じているのが、ほかならぬ安倍首相」と解説するのが、政治ジャーナリストの朝霞唯夫氏だ。しかも、これまでの「安倍一強」の時代が終わりを告げ、これからの政局や選挙民の世論は自民党の派閥をも巻き込み、「親安倍vs.反安倍」に移っていくという。
安倍首相のシナリオは、希望の党が第一党になり、阿吽の呼吸で国会運営を進めていくというものだったが、現実主義者で反安倍の対抗軸を示した枝野代表により、そのシナリオが狂ったのが安倍首相の笑顔が消えた理由だ。自民党の派閥も清和会、大宏池会結成、旧木曜クラブの3派に収斂し、派閥活動も活発化していくという見立てだ。これからの政局は与野党問わず刺激的な政局になっていくだろう。そこで今回、衆院選後の政局について、朝霞唯夫氏にインタビューを行った。
憲法改正
――今回の衆院選の結果を見て、安倍首相はどのように動き、何を考えていると思いますか。
朝霞氏(以下、朝霞) 自公連立与党で3分の2の超安定議席を得たことで、政局は憲法改正に動きます。そして実際、安倍首相もその方向に舵を切っていくでしょう。しかし、簡単に憲法改正が進むかといえば、そこは不透明です。今回、立憲民主党が野党第一党に躍り出た背景には、無党派層に加え、共産党票の一部だけではなく、公明党票の一部も流入しているのです。
今回の選挙結果に危機感をもった山口公明党代表は、安倍首相に対してブレーキ役を果たすでしょうし、安倍首相は現行憲法を活かしつつ、加憲という方向で落としどころを考えています。
選挙期間中、引退した高村正彦副総裁に続投要請し、憲法改正の責任者としての役割を果たすとの説が浮上しました。とにかく、どのような手段を使っても安倍首相は憲法改正をしたいという強い意欲です。
――憲法改正に向けての障害も多そうですが。