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六代目山口組機関紙「山口組新報」に寄せられた「現代ヤクザの思い」…分裂問題は過去の話か

文=山口組問題特別取材班
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「山口組新報」最新号(著作権に配慮し、ボカシを入れています)

 いよいよ山口組分裂問題も佳境に入り、終息に向かっているのではないかという見方が業界関係者の中で囁かれる中、六代目山口組は平時と変わることなく粛々と公式行事を行っている。そのひとつの表れが、機関紙である「山口組新報」の存在だ。

 先だって、予定されていた通り、第23号となる「山口組新報」が発行された。

 今回の紙面の巻頭を飾ったのは、六代目山口組若頭補佐である二代目竹中組・安東美樹組長の言葉。これまでは、時に巻頭を飾る最高幹部の親分が分裂問題に言及し、神戸山口組を鋭く批判することもあったが、神戸山口組の勢力が衰退して行くともに、ここ最近では話題となることもなくなっていた。そして、今回の安東組長の言葉では、分裂問題に関して、「一日も早い抗争終結」という表現以外は言及されていない。

「六代目山口組サイドとしては、もう決着はついていると見ているのではないでしょうか。あとはどのような形で終止符が打たれるのかという段階、と関係者らは口にしています。それよりも、現在のヤクザに対する厳罰化をどのように緩和させ、どのように対応するのかといったほうが大きな課題となっているとも考えられます」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 この指摘通り、安東組長の言葉ではまず、令和3年の初詣に触れ、ヤクザを取り巻く厳しい世情について、具体例を挙げつつ述べられている。例えば、昭和30年代後半に当局より断行された「第一次頂上作戦」に触れ、当時ヤクザが「広域暴力団」に位置付けられ、当局から激しい締め付けを受け、社会から排斥された状況を踏まえ、それが今は「反社会的勢力」と呼ばれ、同様の状況に置かれていることを訴えている。そして、第一次頂上作戦の際と現在とでは、その背景に「東京オリンピック」が存在している点が酷似していると指摘。そうした背景を踏まえても、「山口組綱領」という組の指針を実践し、ひらたくいえば、任侠道を邁進していくことが必要とされるという趣旨が述べられている。

「山口組新報」の2ページ目には、幹部の親分が年末に行われた山口組の恒例行事「餅つき大会」の様子を寄稿。下段には、行事報告が掲載されている。

 3ページには、年末に行われた納会について、直系の親分が寄稿し、後半には幹部の親分が初詣について綴っていた。4ページには、昨今行われた法要について、各親分衆がそれぞれ寄稿し、5ページには、親戚団体の親分衆の誕生日祝いを、直系親分衆が寄稿している。6ページでは、これまでとは様変わりした自動車保険について掲載されており、ヤクザが保険に加入できないことの社会的リクスを訴えている。そして、7ページには、恒例となっている、山口組に所属している組員が寄せた、俳句、川柳、短歌・狂歌が掲載されている。

 今回もその中から秀逸なものをいくつか抜粋したい。

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 こうして見れば、ヤクザ社会も一般社会も、そこで生きる人の営みという点では、同じような思いを抱きながら生きていることがわかる。反社会勢力を位置づけされながらも、そこから発せられる言葉は共感できるものが多いのではないだろうか。

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 最終ページとなる8ページには、会津の歴史について、同地を拠点とする直系の親分が筆を振るい、山口組新報最新号は幕を下ろしているのだった。

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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