米国、中国と経済戦争突入…「ひとつの中国」を否定、10大重点産業を叩き潰す


――その米朝首脳会談ですが、中止から一転、当初の予定通りに行われることになりました。

渡邉 トランプ大統領は北朝鮮が強硬姿勢に転じた裏には中国の手引きがあると見ており、強い不満を抱いています。そもそも、トランプ大統領は習近平国家主席に北朝鮮問題への協力を求めていましたが、進展が見られず、結果的に北朝鮮のミサイル発射や核実験の強行を許していました。しかし、北朝鮮と直接交渉できる態勢が整ったことで、今後は中国に対する制裁も容赦ないものになると思われます。

 本書で詳述していますが、米企業との取引禁止でZTEを経営難に追い込んでいるのは、その始まりにすぎません。また、ファーウェイに対してはZTEと同じ理由で米司法省が捜査の手を入れているため、違法行為が認定されればファーウェイにも同様の制裁が下される可能性が濃厚です。

 ファーウェイは中国人民解放軍の出身者が設立した非上場の民間企業で、ZTEは国有企業です。いずれも中国共産党と非常に近い関係にあるとされており、かねて軍の関与や情報漏洩のリスクがささやかれていました。この動きを見る限り、今後はアメリカが中国の軍事系技術企業などを標的にするかたちで規制や制裁を課す可能性があると同時に、先端技術などの移転も難しくなるでしょう。

「台湾旅行法」成立でメンツを潰された中国

――米朝首脳会談が対中カードにも使われているということですね。

渡邉 アメリカは通商政策以外にも中国を逆なでするような動きを続けています。「台湾旅行法」の成立も、そのひとつです。

 これは、米台間であらゆるレベルの高官の相互往来を解禁する法律です。アメリカは1979年に台湾と断交し中国と国交を樹立しており、米台間では首脳をはじめ外交や国防の高官の往来を認めていなかったのですが、同法の成立は中国が掲げる「ひとつの中国」の原則を揺るがすものといえます。ちなみに、同法は全人代(全国人民代表大会)で習主席の再選が決まるタイミングでトランプ大統領が署名しており、中国としてはメンツを潰された格好になりました。

 また、2017年12月に成立した国防権限法では、国防総省に対して米台の軍艦船の相互往来を検討するように求める内容が盛り込まれており、アメリカは台湾との軍事交流を深めようとしている姿勢が見て取れます。

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