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地震予知、なぜ現代科学でも「できない」のか?「首都直下地震、30年以内に70%」の真相

構成=長井雄一朗/ライター
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地震調査委員会の確率評価は高すぎる?

――今回の地震に関しては「上町断層帯、有馬-高槻断層帯、生駒断層帯が影響を及ぼしたのではないか」という見方もあります。

橋本 有馬-高槻断層帯は阪神・淡路大震災では動きませんでしたが、私は「エネルギーが充填されている」という立場で、かつて論文を執筆しました。ちなみに、GPSのデータから「地面がどう動いたか」がわかります。

――では、地面の変形に基づいて地殻変動が起こる可能性もわかるのですか。

橋本 ぼんやりとではありますが、日本列島のゆがみの濃淡がわかります。よくいわれるのが「新潟神戸歪集中帯」と呼ばれるもので、新潟県から長野県北部、岐阜県北部、滋賀県、京都府南部を経て、神戸市に延びる幅約200kmの測地学的なゆがみの集中帯のことを指します。

 その領域に地殻のゆがみが多いことが、古くは三角測量データからわかり、GPSの活用でより明確になりました。この集中帯では、1964年の新潟地震、2004年の新潟県中越地震、1995年の阪神・淡路大震災、2011年と2014年の長野県北部地震など地震が多く、注目されています。同時に、「集中帯の中で地震が起きていない地域は今後大丈夫か」という議論も生んでいます。

――今後、懸念される首都直下地震南海トラフ巨大地震についてはどう見ていますか。

橋本 相模トラフで起きる大正関東地震タイプの地震は、もう少し先でしょう。一方、安政江戸地震のタイプは現在のような観測がなかったのでわかりません。同様に、南海トラフ巨大地震もまだ先と考えています。政府の地震調査委員会の確率評価は、発生の確率を高く見積もりすぎです。個人的には高知県の室戸岬の隆起と沈降を重視しており、確率評価について委員会で反対意見を申し上げています。

 今の地殻変動の速さを考慮すると、南海トラフが1945年のレベルにまで戻るには100年以上かかります。その時間的な矛盾が解消されていないのです。ただ、実際には90~100年くらいの間隔で発生していた例もあります。そのため、防災対策はハードとソフトの両面で着々と行っていくことが大切です。

現代科学でも地震予知が難しい理由

――そもそも、地震の予知や予測という分野はどういう状況なのでしょうか。

橋本 40年ほど前に社会問題化した「東海地震説」については、もっと冷静な議論が日本地震学会の中であってしかるべきだったでしょう。大震法の強化地域になると政府からの補助率が上がるため、自治体のなかには働きかけようとしたところもあったようです。

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