「バカが多くて疲れません?」…物議を醸して放送中止・差し替えになった、懐かしのCM
あなたにとって「懐かしい」とは、どんな情景でしょうか?
1970~90年代の「懐かしい」を集めたのが「ミドルエッジ」。あなたの記憶をくすぐる「懐かしい」から厳選した記事をお届けします。
さて、今回振り返るテーマは、放送中止になった80~90年代のテレビCM。
インターネットの浸透で、近年は些細なことでも炎上が起こり、まさにCM受難の時代。しかし、80~90年代の炎上CMの飛ばしっぷりは半端ではありませんでした。
CMで発せられた過激な(?)一言が災いして視聴者や関係団体からのクレームが殺到し、あえなくお蔵入りを余儀なくされた幻のCMについて特集していきます。
渋谷ゼミナール(1989年)
予備校のテレビCMで「おちたぞ おちたぞ みんなおちた♪」と大合唱⇒受験生からクレーム殺到
毎年、入試シーズンになると、キットカットの「キットカットできっと勝つ」、カールの「試験に受か~る」など、愚にも付かない語呂合わせのキャッチコピーが「ゲンがいい」と喜ばれ、逆に「スベる」「落ちる」といったワードが忌避されるのは周知の事実。
それにもかかわらず、この東京都・渋谷にかつてあった予備校「渋谷ゼミナール」は、「おちたぞ おちたぞ みんなおちた♪」「おちたぞ おちたぞ すっきりおちた♪」と、銭湯で裸の学生が背中を流し合いながら大合唱しているCMを打ち出してしまったために大炎上。多くの受験生から不興を買い、抗議が殺到したため、即座に放送中止となりました。
エーザイ・チョコラBBドリンク(1991年)
桃井かおり「世の中、バカが多くて疲れません?」⇒セリフ差し替え
1991年放送のエーザイ「チョコラBBドリンク」のCMにて、桃井かおりが「世の中、バカが多くて疲れません?」といつもの気だるい調子で語りかけます。これが視聴者からのクレームを受けて「世の中、お利口が多くて疲れません?」に変更されることに。
この程度のことでCMの撮り直しをさせられていたとしたら、桃井かおりは、心の底から「バカが多くて疲れる」と思ったことでしょう。
サントリー・BOSS(1995年)
矢沢永吉「夏だからってどっか行くのやめませんか?」⇒旅館経営者からクレーム
「『夏だからってどっか行こう』ってのやめませんか? あれ。どこだって夏なんだから」
着流し姿の矢沢永吉が縁側で涼みながら、こんなセリフを吐く1995年夏に放送されたサントリー「BOSS」のCM。お盆シーズンに100%混雑するとわかっていながら、意地でも遠出しようとする旅行客を皮肉った名文句で「ごもっとも!」と共感する人も多そうですが、永ちゃんの影響力を恐れた旅館経営者などから「レジャー気分に水をさす」とのクレームがあり、あえなく放送中止の憂き目に遭いました。
日産自動車・スカイライン(1996年)
自動車のCMで牧瀬里穂が「男だったら、乗ってみな」と発言⇒「セックスを連想させる」と批判を受ける
日産自動車「スカイライン」のCMで、牧瀬里穂がカメラに向かってキーを投げつけ、「男だったら、乗ってみな」と挑発。これが一部視聴者から「セックスを連想させる」とのクレームを受けて放送中止に。
その後、バーカウンターに座る牧瀬が「好きだったら、乗ってみな」と言い、カクテルの如くキーを滑らすCMに差し替え。いや、ぶっちゃけ、あまり変わってない気が……。
ハウス食品・ハウスシチュー(1999年)
「犬と一緒に遊んじゃダメよ」⇒動物愛護団体からクレーム
1999年に放送されたハウス食品「ハウスシチュー」のCM。問題になったのは、母親が子どもに「犬と一緒に遊んじゃダメよ」と言い聞かせるシーン。これが動物愛好家から「ペットを捨てることを推奨している」とクレームを受けて、セリフが「暗くなるまで遊んじゃダメよ」に変更されたのでした。
この連載では次回以降も皆さまの脳裏に「懐かしい」が蘇りそうな記事を提供して参ります。「こんな記事は?」「あのネタは?」なんてお声も、お待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
(文・構成=ミドルエッジ)
【関連記事】
●80年代の化粧品CMソングを歌っていた「3M」とは誰だかわかりますか?
●「ブティックJOY」CMタイアップに起用された8センチシングルを紹介
●1991年CMランキング上位のタレントを振り返ってみた!