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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

横浜市長選で小此木氏敗北なら総裁選出馬すら危うい…永田町で“菅退陣論”が現実味

文=神澤志万/国会議員秘書
横浜市長選で小此木氏敗北なら総裁選出馬すら危うい…永田町で菅退陣論が現実味の画像1
東京五輪開会式での菅義偉首相(「gettyimages」より)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 このたびの西日本を中心とした豪雨災害につきまして、心よりお見舞い申し上げます。まだしばらく被害が続きそうです。

 豪雨もですが、コロナ禍も収まる気配がありません。菅義偉首相が8月17日夜に記者会見し、緊急事態宣言を9月12日まで延期すると発表しましたね。8月26日の管理委員会と総務会で自民党総裁選の日程が「9・17告示-29日投開票」と決まる見通しなので、その前の日曜日までとしたのでしょう。

 コロナの感染爆発とともに医療崩壊が加速し、内閣支持率が急落する中で、医療供給体制が整備されるまで解散総選挙は困難と判断したのではないかと思います。菅首相はコロナ対策を最優先すると以前から繰り返してきましたから、宣言中の解散はあり得ないでしょうね。

 一方で、8月17日の午前中までは「菅さんの総裁続投が危ういらしいので解散かも?」との噂が官公庁の職員の間で出ていました。総裁選のスケジュール発表前に「9月6日に臨時国会召集→そのまま解散総選挙」ということのようでした。神澤も前から“逆ギレ解散”にちょっと期待していましたが、ないと思います。

横浜市長選後に“菅おろし”が本格化か

 しかし、8月22日に投開票を控える横浜市長選挙は想定外の大接戦と報じられ、菅首相の側近である小此木八郎候補の劣勢も伝わっています。このままでは菅首相は総裁選出馬すら危ういかも、とすら言われ始めています。確かに市長選の結果次第で自民党内の「菅おろし」が始まるかも、とは感じていましたが、かなり現実的になってきています。

 自民党の議員秘書たちは、支援者に「今、総理が替わったら政治が混迷してしまいます。菅総理続投ですよ」と答えてはいるものの、本音はフレッシュなイメージの新総裁の誕生を心待ちにしています。そうでないと、本当に総選挙で自民党の議席が過半数割れしてしまうかもしれないと、危機感を強めているのです。

 ところで、横浜市は菅首相の直轄地と思われがちですが、実はそうでもありません。選挙区である神奈川2区以外の地域では、それほど影響力はないんです。

 小此木候補は国家公安委員長を辞任し、後任の神奈川3区支部長を決めて退路を断って臨んでいるのですが、どの世論調査でも元横浜市立大学教授の山中竹春候補に負けています。立憲民主党推薦の山中候補はパワハラ疑惑も報じられていますし、立憲民主党も一枚岩ではないようなので、まだわかりませんね。

 特に幹部の枝野幸男代表や安住淳国対委員長は、菅首相の在任中に総選挙を行いたいという強い希望を持っています。支持率が低下してボロボロのイメージがある菅首相が相手なら、立憲の議席も増えると読んでいるのでしょう。

 また、小此木候補が僅差で山中候補を破って勝利してくれるシナリオが理想、とオフレコで語っていた立憲の幹部がいたそうです。理由はわかりませんが、山中候補は立憲の推薦のほか共産・社民両党に加え、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)反対派の市民団体や港湾関係者の支援を得ているので、共産党アレルギーのある立憲関係者としては落ちてほしいのかな、とも思ったりします。

 選挙も目前となりました。横浜市民のみなさんは、どのような結論を出すのでしょうか。

疲弊して周囲の助言を聞かなくなった菅首相

 それにしても、最近の菅首相はお元気がないように見えます。広島(8月6日)と長崎(9日)の慰霊の日の原稿の読み飛ばしや遅刻のほか、7月23日の東京オリンピック開会式でも、天皇陛下の開会宣言が始まっているのに着席したままだったことが報じられています。

 記者団の質問に答える際も覇気がなく、目はうつろで、支持率急落と「菅おろし」の動きを受けて、精神的にも肉体的にも相当に追い込まれている様子ですよね。

 それが、8月17日の記者会見では、早々の解散総選挙はしないと気持ちが固まったせいか、これ以上危うい政権運営はしないという強い意思が感じられました。

 そういう意味では、内閣総理大臣というのは本当に大変な役職だと思います。菅首相は官房長官時代は非常に冷静で優秀でしたが、そのような人でも首相となると人格が変わってしまうのかもしれません。マスコミは意地の悪い報道ばかりするし、何をしても100点満点の評価を得られることはまずないですからね。親しかった人が敵になることもありますし、国民の評価もどんどん変わります。最近は気持ちに余裕がないのか、周囲の助言を聞かず、スタッフに強い口調で注意することもあるそうです。

 今のところ、安倍晋三前首相の出身派閥である細田派、麻生太郎財務大臣率いる麻生派、二階俊博幹事長率いる二階派の自民党主流派閥は菅首相支持で足並みを揃えているように見えますが、実際には何を考えているかわかりません。

 特に二階幹事長の「国民が菅総理続投を望んでいる」という発言はネットを中心に大ブーイングでしたが、もちろん本心ではないでしょう。わざとこういう発言をして、国民の反応を見ているのです。「五輪中止」を口にしたときは大騒ぎになりましたね。あえて言ってみて、本当の世論を見極めるという手法です。重大発言の真意は何なのか、裏の裏まで読み取らなくてはなりません。

 こういうことから国民のみなさまの心が政治から離れていくのかもしれませんが、お願いもあります。政府を非難するばかりではなく、信じて、ともにコロナ禍や自然災害を乗り越えていくことも選択肢として考えていただけませんか?「菅総理が素晴らしい」という話ではないのです。私たちの、日本の総理大臣なのですから、政府と一緒にどうしたらいいのかを考えていただきたいと思っています。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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