高市早苗議員、“勝手に”国会改革案提示で前代未聞の国会大混乱…NHK中継で異変
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
衆議院の代表質問初日の10月29日に、高市早苗議員がやらかしてくれました。高市議員は衆院の議院運営委員会の委員長を務めていますが、午前中の議運理事会でもめたために、13時から始まる予定だった本会議が45分も遅れたのです。
ただでさえ日程が決まるのが直前で、遅れたりキャンセルになったりすることも日常茶飯事の国会ですが、代表質問の本会議が遅れるなんて聞いたことがありません。
この日は、南米のエクアドルから国会議員が表敬訪問されていて、本会議も外交官席で傍聴することになっていましたが、結局は1時間近くもお待たせすることになってしまいました。きっと、「日本の国会運営って……」と思ったことでしょう。恥ずかしい限りです。
野党の過剰な反発も大問題?
事の経緯は、すでに報道されている通りです。高市議員は、25日に小泉進次郎議員らによる超党派勉強会のメンバーに「議運委員長として実現を目指す事柄」と題する国会改革案を提示しており、そこには「ペーパーレス化の推進」「法案審議の方法改善」「本会議場への『押しボタン方式』」導入」などが盛り込まれていました。また、政府提出法案の審議を優先し、議員立法や一般質疑は「会期末に残った時間を充てる」としていました。
しかし、29日の議運理事会で野党が「勝手な提案だ」「野党の言論封じとしか思えない」と猛反発したのです。当初、高市議員は「私的メモ」と説明したそうですが、そのわりには肩書が「議院運営委員長・前総務大臣」となっていたため、野党側が謝罪と撤回を迫ったものの、高市議員が応じなかったことでトラブルになったようです。最終的には高市議員は文書を撤回し謝罪しましたが、議運理事会は3時間近くも紛糾し、本会議の遅れにつながってしまいました。
なぜ、こんなことでゴタゴタしてしまうのでしょうか。確かに、議運で協議しないまま「委員長名」で改革案を作成するのはルール違反です。しかし、だからといって「高市委員長が謝罪・撤回するまで本会議開催を承諾しない」というのは、ちょっと行き過ぎのような気がします。少なくとも、国民の理解は得られないのではないでしょうか。
海外からのお客様も見えていたのに、とても残念です。野党の国会議員の多くは、「自分たちが諸外国からどう見られているのか」というグローバルな視点が欠けているように思います。
NHKの中継では“小笠原の海”が流れる事態に
そもそも、今回の「メモ」は、最初からマスコミにも注目されていました。閣僚経験もある高市議員は知名度がありますし、内容も小泉議員が事務局長を務める「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」(浜田靖一会長)が提唱しているペーパーレス化などに関するものだったので、議運提出前に記者クラブに流れていたようです。メモの内容はしっかりしていたので、なおさら残念でした。
「まぁ、本会議ナシじゃなくてよかった」
「初日からこれはやめてくれ……」
当然ながら議員たちもボヤきまくりですが、そもそも国民に対して失礼な国会運営と言わざるを得ません。
当日は、NHKによる代表質問の中継が入っていましたが、13時5分の中継開始からしばらく「誰もいない本会議場」が映され、本会議の開催を決める議運理事会が延びていることから本会議が始まっていない旨が説明されていました。
いつになるかわからない本会議の開催を待ちながら、議員も私たち秘書も無駄な時間を過ごすことになりました。
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。