11月5日、参議院議員会館で小川敏夫参院議員(立憲民主党)の記者会見が行われた(主催:市民団体「森友ごみ問題を考える会」)。元裁判官、元検事で、法務大臣も務めた小川議員は昨年、森友問題について国会で鋭い質問を展開してきたが、今回の会見「森友 政府提出の資料は、虚偽!?」で極めて重大な発表を行った。
2016年当時、森友学園への国有地売却に際して格安値引きの根拠とされていたのが、今回の試掘写真資料である。小川議員は、新たな埋設ごみを試掘した写真資料であると国が説明していたこの写真が、偽造されていたことを立証した。別の場所で試掘した埋設ごみを写した2枚の写真が、同一の埋設ごみの写真であったのだ。写真を比較することで、遠近や角度を変えて別々の場所で撮影した写真として偽装していたことが、誰の目にも判別できた。この事実について、小川議員は明らかな「不正」であると指摘した。この動画を見た筆者の友人は、次のようなメッセージを送ってきた。
「これ、すごいですね。
政治に疎い私でしたが、こんなインチキにはびっくりです。
動画配信は助かります。関係者の皆様 ありがとうございます」
写真1は、国の説明によれば、学園用地で掘削された埋設ごみを積み上げた内の2枚の写真であり、(3)と(16)は約50m離れた別の場所の写真ということであった。しかし2つの写真を見ると、明らかに同じ場所の埋設ごみの写真である。(3)は、(16)より埋設ごみを撮影する角度も変えているが、写真の中に写っているビニールごみや木くず、土の塊に混じっている木っ端の位置などから誰が見ても同じ写真だとわかる。
8億円値引きの最大の根拠であった写真資料が偽造されたものであれば、国有財産売却に伴う大幅値下げの根拠はなくなる。会見で小川議員が「背任行為となる」と指摘したその内容と背景を探った。
8億円値引きの最後の根拠、試掘写真
試掘写真は、国による値引きの根拠のなかでも、極めて重要な位置を持つ情報である。国の説明によれば、学園用地から掘り出した埋設ごみと試掘に際して掘削した穴の様子を示した写真資料であった。専門的な知識を持たないと問題点は見つけにくいが、今回、同一の場所にあるものを、角度や倍率、遠近の調整をすることで、別の場所で撮ったという偽装が行われていたことがわかった。しかもその偽装は、複数の場所で行われていた。
<表1:関連経過表>
10年 大阪航空局が埋設ごみを調査。3mまでの深さに約680トンとの調査予測。(※1)
12年 大阪航空局が深度調査(ボーリング調査)。3m以深は沖積層。(※2)
13年 森友学園が同用地の取得を要望
15年
5月29日 国と森友学園が貸与契約
7~12月 同学園から請負った株式会社中道組が土壌改良工事。約953トンの埋設ごみを撤去。
16年
1月~ 同学園から請負った藤原工業株式会社が、校舎の建設工事を開始。
3月11日 基礎杭を打っている途中で、3m以深から埋設ごみが見つかる。
3月14日 近畿財務局、大阪航空局立ち合い
3月25~30日 業者が試掘
3月30日 近畿財務局が試掘した埋設ごみを撮影。
→「17枚写真資料」撮影
4月5日 大阪航空局が試掘穴と埋設ごみを撮影。
→「21枚写真資料」