あなたにとって「懐かしい」とは、どんな情景でしょうか? 1970~90年代の「懐かしい」を集めたのが「ミドルエッジ」。あなたの記憶をくすぐる「懐かしい」から厳選した記事をお届けします。
今回のテーマは、『平成』以外の元号候補だった「修文」と「正化」について。
「平安時代みたい」などと揶揄されたのも今は昔。着慣れなかった新品の洋服が、何度も袖を通すうちに不思議と肌に馴染むように、30年の歳月をかけて「平成」もすっかり世間から愛着を抱かれるようになりました。
馴染み深い時代との別れを惜しむかのように、何かにつけて「平成最後の~」と語られる昨今だからこそ、“平成じゃなかった可能性”もあったことを改めて振り返っていきたいと思います。
1989年1月7日に小渕氏が掲げた「平成」の色紙はDAIGO宅に
1989年1月7日、14時36分。首相官邸にて、当時官房長官だった故・小渕恵三氏が、「新しい元号は『へいせい』であります」と言い、「平成」と墨で書かれた半紙を掲げた場面は、新たな時代の幕開けを象徴するワンシーンとして有名です。
ちなみにこの「平成」の色紙、当時の故・竹下登総理大臣の孫として有名なDAIGOの実家にある蔵で、最近まで保管されていたのだとか。テレビ番組の企画でDAIGOが持ち込み、お宝鑑定士が「価値が高すぎて鑑定不能」とたじろいだというその希少価値は、計り知れません。
「平成」「修文」「正化」の3つの候補があった
さて、この元号発表の翌日にあたる1989年1月8日から始まった平成時代。2019年(平成31年)4月30日、天皇陛下の譲位によって30年と113日間(=1万1070日間)の歴史に幕を閉じる予定となっていますが、昭和天皇崩御の当日の午後には、「平成」「修文(しゅうぶん)」「正化(せいか)」という3つの候補が提示されていたといいます。
「修文」を提案したのは、古典中国文学者の故・目加田誠(めかだ まこと)氏。「正化」は儒学者、国語学者の故・宇野精一氏が提案したといいます。「正化」については「先代の天子も明らかな徳を持っており、今の天子も明らかな徳を持っておられる。重なる明るさが正しいことについてこそ、天下の万物を成育させ成長させることができる」という意味があるとのこと。
そして「平成」は東洋史学者・山本達郎氏が、『史記』五帝本紀の「内平外成(内平かに外成る)」、『書経』大禹謨の「地平天成(地平かに天成る)」から「内外、天地とも平和が達成される」という意味合いを込めて命名されたそうです。
この3案は「元号に関する懇談会」と全閣僚会議にて議論され、「平成」が多数の支持を集めたため、結果、小渕官房長官の手元へ生乾きの二文字が記された色紙が届けられたというわけです。
平成の次の元号予想は……
あれから30年……。再び時代が変わろうとしている今、次の元号予想が盛んに行われています。歴史社会学者の鈴木洋仁氏が、元号によく使われる「永」と一度も使われたことのない「感」を組み合わせた「感永」と予想すれば、ソニー生命が行ったアンケートでは「平和」「和平」「安久」などが高い人気を誇り、さらには、ネット上に現れた未来人(?)が「次の元号は『安始』」と明言したりと、実に多種多様。果たして私たちは、次にどんな二文字をさまざまな場面で明記するようになるのでしょうか?
この連載では次回以降も皆さまの脳裏に「懐かしい」が蘇りそうな記事を提供して参ります。「こんな記事は?」「あのネタは?」なんてお声も、お待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
(文・構成=ミドルエッジ)
●これは昭和か平成か、二つの時代を満喫したミドルエッジ世代に贈る挑戦状10問!
●【平成最後の日】2019年4月30日(火)に向けて、平成にあった事件を振り返る。
●平成も既に30年。昭和生まれとのジェネレーションギャップ!!