香港政府、ペットショップのハムスターなど小動物2千匹を強制的に殺処分…市民が反発
香港政府は1月中旬、市内のペットショップの従業員とハムスターが新型コロナウイルスに感染したと発表したのち、ペットショップなどのハムスターやほかの小動物約2000匹を押収し、「人道的な方法で殺処分する」と発表した。
しかし、この殺処分については、1万4000人以上の香港市民が「ペットは飼い主にとっては親友であり、子供と同じだ。政府にハムスターなどの命を奪う権利はない。断固反対する」などと反対の請願書に署名しており、今後も抵抗運動が続きそうだ。香港紙「明報」など香港メディアが報じた。
この殺処分騒ぎは、香港市内中心部の銅鑼湾(トンローワン)のペットショップの店員が新型コロナウイルスに感染していることが判明したことを受けて、香港の衛生当局が同店の数百匹の動物を検査したところハムスター11匹が陽性と判定されたことに端を発する。保健当局はペットショップ従業員1人と顧客1人、顧客の配偶者の計3人が検査で陽性だったと発表している。
また、小動物のなかで感染が確認されたのはハムスターだけで、ウサギやチンチラなどは陰性だったが、当局は「動物からヒトに感染した可能性がある」などとして、「予防措置」として市内の34店のペットショップや動物保管センターのハムスターや小動物約2000匹を押収。銅鑼湾のペットショップで昨年12月22日以降にハムスターを購入した市民は、ペットを安楽死させるため当局に引き渡すよう求められている。衛生当局は「ペットやエサに触れた後はしっかりと手を洗うなどの予防措置をとるなど、衛生管理を徹底するべきだ」などと指導している。
「大切な仲間を不当に失う可能性がある」
しかし、この殺処分については、動物愛護団体やペットを飼っている市民らから「ペットからヒトへ簡単にウイルスが感染することを示す明確な証拠はない。政府の命令で何千人もの人が大切な仲間を不当に失う可能性がある」などとの嘆願書が提出され、多数の人々の署名も集まるなど、香港政府の強権的な手法に批判が集まっている。
ネット上では「どぶの中にいるネズミなどもウイルスに感染している可能性がある。政府はペットショップの動物を処分するよりも前にネズミなどの駆除を行うべきだ」との声も出ている。
ほかの国での新型コロナウイルス感染拡大に伴う動物の殺処分については、2020年11月、デンマークのミンク農場で新型ウイルスの変異種が確認されたことでミンク1700万匹が殺処分。同年7月、スペインのミンク農場でも飼育されていたミンクの87%がウイルス感染していることがわかり、当局が殺処分を命じている。