2024.01.24 10:11
2022.08.19 05:20
日本維新の会が新たな時代を迎えようとしている。
松井一郎代表が来年、政界引退して辞任するのに伴い、結党以来初の代表選挙が行われている維新の会。代表選では、馬場伸幸衆議院議員、足立康史衆議院議員、梅村みずほ参議院議員の3名が立候補している。だが、すでに大勢は決したとの見方が強い。全国紙政治部記者は、次のように解説する。
「これまで松井氏が務めてきた維新の会代表のポジションですが、ここに割り込んでくるような議員は皆無でした。しかし、松井代表の引退を受けて、次の代表を狙う議員が複数、声をあげました。梅村みずほ議員が『権力闘争がある』と話しているように、告示前には権力闘争も勃発しましたが、松井代表が動いたことで、維新の会としては馬場伸幸共同代表に一本化された形です。3人の候補者がいますが、実質は馬場新代表が濃厚な状況です」
新体制に移り、焦点となるべき点はいくつかある。なかでも党から離れたとはいえ、創設者である橋下徹氏の影響がいまだに強く残る党内において、そのイメージをいかに変えていけるかが大きいと、維新の会の所属議員は明かす。
「党から離れたとはいえ、橋下徹元代表の影響力は大きく残っていました。党内の隅々まで“橋下イズム”が浸透していたともいえます。そもそも。橋下さんの引退後も松井代表、吉村洋文副代表は懇意にして、食事などをよく一緒にしていました。表面上は『橋下さんは党とは関係ない』と言っても、議員たちはそう受け取っていませんでした。
ところが、昨年の衆議院選挙、今年の参議院選挙を経て、橋下さんを知らない世代も増えてきました。彼らは橋下さんがテレビやSNSで好き放題に言っていることに対して、強い不信感を持っている者もいました。新体制に移り、どれだけ従来と違う維新カラーを出せるか、それに若手がどれだけ共鳴するか、という点を注視しています」
懸念もある。長年、党の顔として党内で絶大な影響力を持った松井代表が退くことで、「必ず派閥争いや権力闘争が生じるはずだ」と、前出の議員は警戒する。
「今までは、まとまらない時も『松井さんが言うなら』と、落とし所を探しながら物事を決定していたわけです。それですら組織が大きくなると、派閥が生まれてきました。馬場さんが新代表になったとして、松井さんのように全体をまとめることができるのかという点は、不安がありますね。上層部は馬場さん支持でしょうが、党内のベテランのなかには馬場さんを嫌う人間も少なくありません。身内から刺されるようなことにならないといいのですが」
維新の会といえば、所属議員のスキャンダルの多さでも知られる。急拡大したがゆえの整備不足、他党からの移籍組が多いこともあり、玉石混交の議員たちが次々とスキャンダルを起こしてきた。そのスキャンダルに関して、党内で十分な処分や聞き取りも行われないまま、うやむやになった例も少なくない。
来年には統一地方選挙が控え、2025年には日本国際博覧会（大阪・関西万博）の開催も予定されている。大阪を地元とする維新の会は、より一層、有権者から厳しい視線を向けられることは明らかだ。そんな背景もあり、新体制になり全国政党として飛躍する際に求められるのは、有事の際の素早い処分だと指摘する声もある。
「正直、ウチは身内に甘すぎるという点が有権者の目にはマイナスに映っています。同じようなスキャンダルでも、自民党なら大きな問題になっていたものも、野党で議員の知名度がないという理由で話題にならなかったケースも多くあります。幹部のなかには『（若手議員は）動物園さながらだから』と嘆く議員もいるくらいです。議席が増えてくると、今後もそのような不祥事の連鎖の流れは避けられないでしょう。スキャンダルや不祥事や瑕疵に対して、新体制には毅然として処分する姿勢が求められます。馬場さんはドライな部分もあるので、その辺りをどう捌くかに注目しています」（同）
7月の参議院選挙では比例票で立憲民主党を上回り、議席を大幅に伸ばすなど、党としての躍進は著しい。だが、その裏では明確な課題が残されていることも事実なのだろう。新代表の手腕に注目が集まる。
（文＝Business Journal編集部）
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