世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が2014年の『24時間テレビ』(日本テレビ系)で参加ボランティア団体として紹介されていたとする件について、29日の同局系の情報番組『情報ライブ ミヤネ屋』で宮根誠司が言及。問題の放送について釈明コメントを出した系列局のテレビ金沢に対して「説明不足」「謝罪がない」などと苦言を呈した。
旧統一教会の『24時間テレビ』への関与は、同団体が25日に公式ホームページ上で主張したもの。女性信徒がボランティアとして7年間にわたって番組に関わり、ボランティアスタッフをまとめる中心的な立場になっていたとした。さらに、その証拠として「七尾市/世界基督教統一神霊協会能登教会」とのテロップが表示された番組のキャプチャ画面が提示された。
これを受けて、テレビ金沢は「企業や団体を募って放送したCMの一部を切り取ったもので、参加ボランティア団体を紹介する画像ではありません」と釈明したが、当該CMは計10回放送されたという。また、ボランティアスタッフについては「参加される方の個人的な思想・信条について確認することはいたしません」と発表した。
一方、日本テレビは「弊社系列のテレビ金沢が2014年7月27日にローカルエリアで放送したものと、テレビ金沢から報告を受けています。2014年の弊社『24時間テレビ』の中で放送されたものではなく、全国放送はされていません」とのリリースを発表。「系列局がやったことだからウチは関係ない」といった主旨のコメントは賛否を呼んだ。
このドタバタによって立場が危うくなったのが、徹底した旧統一教会批判で評価を上げていた『ミヤネ屋』だ。選挙ボランティアに旧統一教会の信者がいたことについて多くの政治家たちが「知らなかった」「一人一人の身元確認はできない」などと釈明したが、同番組はそれに批判的な立場をとっていた。しかし、日テレや系列局が番組ボランティアの思想信条を確認していないのであれば同じことで、ダブルスタンダードになってしまう。
この事態に対して、宮根は29日の番組で「系列で毎日、お世話になってますが、個人的な意見として聞いていただきたい」と前置きした上で、「この説明では、認識不足であったのかどうかが分からないし、われわれの報道姿勢として実際に被害に遭われている方もいらっしゃる中で『謝罪』という文面がない」とテレビ金沢の釈明にダメ出しした。
さらに「今後、どのように旧統一教会との関係を持っていくかの言及がテレビ金沢さんの説明にはないと思う。それがないと、現場の記者の人が取材しにくいですよ、このコメントだけだと」とも語り、かなり厳しく苦言を呈した。
また、同番組を制作している読売テレビからは「『ミヤネ屋』を制作している読売テレビとしては現状、教団とのかかわりについては把握していない。今後、新たな事実が明らかになれば、しっかりと速やかにお伝えしていきます」とのコメントが出された。
「他人事みたい」と批判的な声も
これにネット上では「絶対に引かないという覚悟が伝わった」「しっかり説明したのは好印象。今後も統一教会批判をガンガンやってほしい」などと激励の書き込みが飛び交った。
その一方で「系列局だろうが信者が関与していた可能性あるんだから他人事みたいなコメントはどうなの」「ブーメラン直撃で政治家批判の説得力がなくなった」「他にも出てきたらどうするんだろう」などと疑問視する声もあり、賛否両論となっているようだ。
実際、日テレ系列局と旧統一教会をめぐる新たな騒動も起きている。中京地区を中心に活動しているアイドルグループ「プリンセス物語」が今年の『24時間テレビ』に関連した中京テレビのライブイベントに出演する予定だったが、グループと旧統一教会の関係を指摘(グループ運営側は関係を否定)されたことをきっかけに「出演取り消し」になったことがわかったのだ。
旧統一教会側が新たな「爆弾」を投下するおそれもあり、今後もさまざまな意味で日テレと教団のバトルは激化していきそうだ。