最大2万円分の「マイナポイント」を受け取るためのマイナンバーカード(マイナカード)取得申請期限である2月28日、全国各地の自治体の窓口が“駆け込み申請”で混乱している。役所によっては、未明から長蛇の列をつくり、4時間以上待たなくては申請できないほどの混雑ぶりだという。
ちなみにマイナカードの申請は、自治体窓口だけでなく、オンライン申請サイトや郵送、街中の証明写真機、全国の携帯電話ショップでも可能だ。だが、やはり担当者から説明を受けながら申請したい人が多いのか、窓口に駆け付ける人が多い。ある役所のマイナカード担当職員は、ろくに昼休みも取れないほど忙しいとこぼす。
「ここ数カ月、駆け込み申請をする人が多く、対応に追われていましたが、今日は特にひどいです。窓口を増設し、ほかの部署からも人員を回して対応しているのですが、担当者はみんな休憩もほとんど取れない状況です。今日が申し込みの最終日なので、ある程度は混雑するのは想定していましたが、今日までにカードを受け取らなければポイントを受け取れないと勘違いしている方が非常に多く、『今日中に発行しろ』と怒鳴られることが後を絶ちません。発行まで1カ月はかかると説明しても、理解していただけない方も多く、怒りを収めて引き取っていただくのに苦労します。
また、カードを作成するだけでポイントを当然にもらえると勘違いしている方も多いですね。申請した後、1カ月ほどしてからカードを受け取り、ポイント申請を行い、さらに買い物またはチャージを行うことで、その25%分のポイントがもらえる、と説明しても、ご高齢の方には理解してもらうのに時間がかかります。しかも、5000円分のポイントをもらうためには、2万円以上の買い物またはチャージが必要だと知ると、怒り出す方もいます。そんなお客様対応が、窓口業務が長引いている一番の原因です」
窓口で対応している職員の大変さは想像を絶するほど過酷な状況のようだ。だが、駆け込み申請は、窓口だけではない。オンライン申請のサイトもアクセスが殺到し、接続できない時間帯もあった。総務省では、申請ページへのアクセスを緩和するために待機ページを設けたが、そこに表示される待ち時間が90分を超えるほどで、急遽次のような文言を掲示し、実質的に申請期限を1日延長した。
「この画面が表示されている場合は、3月1日中に申請を完了していただければ、マイナポイントの申込対象となります」
マイナカードの申請状況は26日時点で、全国で9000万人を超え、人口に対する割合は72.2%に達した。駆け込み申請を受け、2月末に80%近くに達するとみられている。
政府は3月末までに“ほぼすべての国民”に所持させることを目標に掲げ、河野太郎デジタル大臣は、その目標達成について「いけるのではないか」と自信をみせている。2024年秋には、現在使われている健康保険証を廃止し、マイナカードと一体化させることも発表し、さらには運転免許証の統合も当初予定(2024年度末)より早めようとしている。
加えて河野大臣は、SNS利用にマイナンバーを紐づけることを提案するなど、マイナンバーやマイナカードを活用する施策を次々に打ち出している。反発も大きいが、着実に普及が進められているのは間違いない。
(文=Business Journal編集部)