人気声優の高野麻里佳と高木友梨香が、エイプリルフールのウソとして“真剣交際”を発表したことに対し、ネット上で「LGBTをバカにしている」などと批判が殺到した件について謝罪した。その一方、LGBTの当事者を含めた人々から「謝罪する必要ない」「逆差別では」といった擁護の声も集まり、賛否両論が巻き起こっている。
人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』のサイレンススズカ役などで知られる高野は4月1日、自身のTwitterで「【御報告】平素より格別のお引き立てを賜り、心より御礼申し上げます。私事で大変恐縮ではありますが、この度、かねてより仲良くさせていただいております高木友梨香さんと正式にお付き合いする運びとなりました」などと発表。併せて公開された動画と写真では、高野と高木が“真剣交際”を報告するとともに、互いの薬指に指輪をはめる様子を公開していた。
ファンが驚愕するなか、2人は同日午後に「エイプリルフールネタでした~」とネタばらし。「長文のご報告に動画まであったからガチかもと思った!」「絶妙にあり得そうなネタでだまされそうになった」といった声が寄せられ、多くのファンは喜んでいたようだったが、その一方で「カミングアウトと同性婚を笑いとして消費する感覚が信じられない」「LGBT当事者をバカにしている」「当事者たちがどれほど苦しんでいるのか想像力を働かせるべき」「ネタになるととらえている時点で本人たちもファンもLGBTへの理解がなさすぎる」といった批判が相次いだ。
これを受けて、高野は同日夜に「本日のエイプリルフール企画について、不快に思わせてしまった皆様に深くお詫び申し上げます」「傷つけてしまった皆様へ重ねてお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」などと謝罪。高木も「みなさまのコメントを拝見し、思慮が足りていなかったことを痛感いたしました」「不快に思わせてしまった皆様、傷つけてしまった皆様、本当に申し訳ありませんでした」と謝罪し、一連のツイートや動画を削除した。
だが、この謝罪の件が話題になると、SNS上で「交際を偽るというドッキリで、異性愛はOKで同性愛だとNGみたいな感覚のほうが偏見や差別心を感じてしまう」「男女の嘘の交際報告なら異性愛者に失礼とか差別とか言わないでしょ。同性だろうが異性だろうが同じく笑って終われる世の中こそ『差別が無い社会』じゃないのかな」「謝る必要ない。こういうネタを批判すると、性的マイノリティのタブー感が強まって逆効果だと思うよ」といった擁護の意見が多数噴出。LGBT当事者からの擁護もあった。
男女の「交際します」「結婚しました」といった“ご報告”は、芸能人から一般人までエイプリルフールの定番ネタとなっており、その是非は別にしても炎上するようなケースはほぼない。これが同性同士になった途端に「差別的だ」とされ、謝罪するほどの問題になってしまうことに疑問を抱いた人が少なくないようだ。その一方、現在もカミングアウトできずに悩んでいるLGBT当事者がいる状況で、同性愛をネタにするのは「茶化している」という印象になってしまうとの見方もある。
いずれにしても、彼女たちのエイプリルフールネタは思わぬ形でLGBTの捉え方に関する議論に発展し、世の中に一石を投じることになったともいえそうだ。