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ビッグモーターに関する相談が年間約1500件…なぜ消費者庁は動かないのか

文=Business Journal編集部
ビッグモーター
ビッグモーターの店舗(「Wikipedia」より)

  自動車保険の保険金水増し請求問題に端を発し、次々に不祥事が報じられている中古車販売大手ビッグモーター。消費者庁は9月5日、ビッグモーターについて全国の消費生活センターに寄せられた2022年度の相談が1491件あったと公表した。

 ちなみに18年度にも911件あり、23年度の件数は精査中であるのもの22年度の同時期よりも多いという。この間も毎年1000件前後の相談があったとみられており、ネット上では「これほど多くの相談が毎年寄せられているのに、なぜ消費者庁は今まで動かなかったのか」「消費生活センターに相談する意義はどこにあるのか」など、消費者庁に対する疑問の声があふれかえった。

 そこでBusiness Journal編集部は、消費者庁に見解を聞いた。

――昨年度だけで1500件近くの相談が寄せられているとのことだが、なぜ消費者庁は動かないのか、という声が多く上がっています。

消費者庁「全国の消費生活センターに寄せられる相談件数は年間90万~100万件に上ります。そのなかで、行政措置を取る必要がある事例があれば調査を行い、証拠を集め法律に則って処分を科すという流れになります。相談件数が多いから行政処分を科す、という流れではありません」

――ビッグモーターのように毎年1000件にも及ぶトラブルが発生している業者であれば、なんらかの介入を要するような問題をはらんでいる可能性が高い、という判断にはならないのでしょうか。

消費者庁「個別の事業者に対する判断についてはお答えを差し控えますが、ビッグモーターに関する相談内容については9割以上が契約上のトラブルです。契約はあくまでも民事なので、消費者の相談に乗ってアドバイスをすることはできますが、相談件数が多いから処分が必要、との判断にはなりません」

 実際に、昨年度の1491件の相談のうち、自動車の購入や売却などに関するものが約9割を占め、1313件に上ったという。その半数が解約に関する相談で、強引な勧誘や査定額の減額を巡るトラブルなども含まれていた。反社会的な行為を伴う契約上のトラブルを多数引き起こしていた疑惑がもたれているものの、あくまでも民事上のトラブルであり、行政が関与すべき案件とは判断されなかったといえる。

――河野太郎消費者担当相が8月8日、消費者庁に対し、ビッグモーターに関する保険金の不正請求問題を重要な消費者問題であるとして「関係省庁との連携対応の強化」「相談受付体制の強化」するように指示し、合わせてビッグモーターに関する相談内容について精査するよう消費者庁に指示したといわれている。やはり違法な疑いのある相談もあった可能性があるのでしょうか。

消費者庁「個別の事業者の措置にかかわる部分についてはお答えは差し控えさせてください」

 こうしてみると、そもそも消費生活センターに相談しても、何も解決しないのではないか、との疑念が湧く。

 消費生活センターは、地方公共団体が設置する行政機関で、事業者に対する消費者の苦情や相談のほかに、消費者啓発活動や生活に関する情報提供などを行う。悪質商法や製品事故に関する情報や、消費生活相談データベースを国民生活センターと共有する。

 国民生活センターは、消費者庁の管轄下に属し、独立行政法人国民生活センター法に基づき設置された日本の独立行政法人で、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行うとともに、重要消費者紛争について法による解決のための手続を実施することを目的とする。

 消費生活センターと国民生活センターの役割はほぼ同じだが、前者は地方自治体が運営し、後者は国が運営する。消費者から相談が持ち込まれると、具体的な対応方法などトラブル解決のヒントなど情報提供される。紛争が発生している場合には、実際にスタッフが間に入って交渉してもらえることもある。

 ビッグモーターのように断っても無理やり契約を結ぼうとする事業者に対しては、解約や返金対応するように交渉することもある。だが、事業者側が応じないことも多く、生活センター側の権限強化が課題となっている。

 消費者庁は、この消費生活センターと国民生活センターに寄せられた相談事例を基に、行政処分の必要があると疑われる事業者について調査を行い、場合によっては法律に基づいて行政処分を下したりする。

 つまり、相談件数の多寡は行政処分の判断基準とはならない。とはいえ、ビッグモーターはあまりにも多くのトラブルを引き起こしており、厳しい処分を願う声が多く出るのも必然といえる。このような悪徳業者に対して、行政が迅速に力強く動くことを求めたくなる一方で、行政が強権を持つことに懸念を示す声もある。

(文=Business Journal編集部)

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