NHK職員の年収は、平均年収1185万円、社会保険料などを含めた人件費は1780万円–。これは2012年度の予算審議の中で公表された数字だ。民間企業で働くサラリーマンや役員、パート従業員の平均年収が408万円(国税庁「2012年度民間給与実態統計調査結果」)と比べると、約3倍ということになる。それほど高額になる背景について、4月に出版された『NHKはなぜ金持ちなのか?』(双葉新書)の著書、小田桐誠氏は次のように解説する。
「NHK職員の給与は、かつてマスメディアの中ではそう高くありませんでしたが、1980年代後半から上昇してきました。とくに島桂次氏が会長になってから、朝日新聞や読売新聞並みになったといわれます。また、NHKには基本給・世帯給で構成する『基準賃金』、残業代にあたる『基準外賃金』のほかに諸手当があり、それが充実しています」
例えば、本部および横浜、さいたま、大阪、京都、神戸の各放送局職員に対して支給される「地域間調整手当」、転勤者用住宅等に入居していない者に支給する「住宅補助手当」、北海道の各放送局では10月にまとめて支給される「寒冷地手当」などがある。また、“第二の給与”ともいわれる厚生保険費(人件費に含まれる)は、職員住宅や保養所の運営などに活用されており、これを職員1人当たりで割ると200万円ほどになるという。
「NHK職員は高額給与批判に対し『一生懸命やっている』と反論しますが、どの程度が適正なのかは冷静に議論・検証されるべきでしょう」(小田桐氏)
NHKの14年度の事業収入は、受信料6428億円とその他201億円を合わせて6629億円、事業支出は6539億円。黒字はわずか90億円だが、NHKは営利を目的としない特殊法人であり、赤字にさえならなければよい。むしろ、帳簿上大きな利益を出していたら、そちらのほうが問題視される。
しかし、小田桐氏によれば、NHKには現金預金1111億円、短期保有有価証券1002億円、長期保有有価証券2162億円があり、4000億円を超える金融資産を持っている。有利子負債が215億円あるが、今日にでもすべて現金預金で返済可能だ。