佐々木はこの長女の実母との離婚前から榎本と不倫関係にあり、離婚成立直後に榎本と結婚したことはすでに知られている。同誌によれば、佐々木と榎本の結婚後、長女は中学1年生の時にふたりと実の弟との同居生活が始まると、実母との連絡を一切禁じられた上、自宅で榎本に話しかけた際には「あっち行って」と手を振りながら拒絶されたという。さらに、榎本から「一緒に住めないから出て行って」と言われ宮城県の祖母の家へ追い出され、高校卒業にアルバイトを掛け持ちする生活の中で佐々木に家賃の支援をお願いすると、榎本は「風俗でもやれば」と突き放したという。そうしたことが重なり長女はついに自殺未遂まで図り、一命を取り留めた後、榎本から「ウチの家に迷惑かけないで。世間にバレたらどうしてくれるの?」などと批難されたという。
もし「文春」の報道内容が事実であれば、榎本の行為は法的にどのような問題があるのだろうか。弁護士法人アヴァンセリーガルグループ執行役員で弁護士の山岸純氏は、次のように解説する。
「あくまで記事内容が事実であることを前提にした上での話ですが、榎本さんの行動は、一種の『心理的虐待』に該当する可能性があります。しかし一般的には、このような外傷を伴わない、または性的な要素を含まない行為に対して刑罰が適用されることはほとんどありません。なお、相手に嫌がらせ電話をかけ続け、精神を衰弱させたケースにおいて傷害罪が適用された例(東京地判昭和54年8月10日)もありますが、極めて例外的な事件です。とはいえ、心理的虐待が法律上、まったく問題がないわけではありません。児童虐待防止法は、保護者等が自分が監護する18歳以下の者に対し暴力を振るうほか、『著しい暴言又は著しく拒絶的な対応』を行うことなどを『児童虐待』として厳に禁止し、行政上の指導、勧告を与えることとしています」
では、榎本の場合は、この児童虐待に該当するのであろうか。
「榎本さんの場合、被害に遭ったとされる佐々木さんの長女にとって継母にあたるとはいえ、当時は同居していたのですから、監護を行う者として適切な養育をしなければならない立場にあったと考えられます。それにもかかわらず、『出ていきたければ出ていけば』『一緒に住めないから出て行って』という旨の発言を行ったり、実際に長女が『一緒に住むことは許され(なかった)』のであれば、『著しく拒絶的な対応』に該当する可能性があります。また、『風俗でもやれば』という旨の発言も『著しい暴言』に該当し、法が禁止する『虐待』として取り扱われた可能性もあります。すでに過去のことなので、榎本さんに対し行政上の指導や勧告が行われることはありませんが、いずれにせよ、法律上、問題のある行動であった点は否めません」
今回の「文春」の報道が事実であれば、榎本の行為は、決して許されるものではないだろう。
(文=編集部)