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織田直幸「テレビメディア、再考。」第3回

フジテレビ・福原伸治氏に聞く「自己批評番組」の可能性

文=織田直幸
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 私自身は『批評』のプロデューサーは8月いっぱいで降りて、今後は情報番組全体を統括するという役割になりました。今後は今まで『批評』でやっていたエッセンスを他の情報番組に広めていければ……と思ってます」

 福原さんの新しい立場は「情報制作センター室長」。ご自身でも「自分でもこういう立場になるとは想像してなかったなあ」と笑って言っていたが、この統括的なポジションから多岐にわたるジャンルの番組に対し、『批評』で得たソーシャルメディアとテレビを繋いでいくエッセンスの種を撒いていこうということなのだろう。

なぜテレビメディアは他局批評や局間相互批判を行わないのか?

 もう一つだけ、私には福原さんに聞いてみたかった素朴な疑問があった。

 それは「なぜテレビメディアは他局批評や局間相互批判を行わないのか?」ということ
だ。

 テレビ以外の新聞も雑誌も時には他の競合メディアを批判し、それによって購買部数を伸ばす時すらある。それに比べ、テレビは他局批判を徹底的と言っていいほど避けているようにも見える。しかし、それは何だか奇妙なもののように思えてならない。  
 
 テレビメディアにおける他局批判というのは今後もあり得ないのだろうか? ないとすれば、その理由は何だろう? 

 例えば今の自局批評番組が進化し、さらに他局を含むテレビ界全体を批評したりする番組になったりはしないのだろうか?

「それは難しい。基本的にテレビの人間は他局の批判批評はしないですから。私からすれば、雑誌や新聞などの紙メディアでは何であんなにやり合うのかが不思議に見えます。テレビも視聴率競争はしていますが、お互いの足の引っ張り合いはやりません。もちろんBPO(『放送倫理・番組向上機構』)という第三者機関の存在は大きいですが。テレビ自身が他局を批判するというのはフェアじゃないだろうとも思ってますし。また、大きな理由としてはテレビの場合、公共性が重視されているということもあると思います。だから、ある種の“立ち位置”は明確にはしないのが原則だと思っています。新聞には論説があって立ち位置を明確にしていますが、テレビは公共性に力点を置くために、ある意味フラットな方向でしか考えません」

 確かに他者批判をする場合は、自身の立ち位置を明らかにする必要がある。

 しかし……。

 メディアが“立ち位置”を示さないなんてことは可能なんだろうか? テレビメディアにおける「公共性」とはいったい何だろうか……。難しいテーマが二つ残った。

 次号から2回にわたって、「テレビメディアとデモ報道」をテーマにして、そのあたりを考えていこうと思う。
(文=織田直幸)

織田直幸

織田直幸

株式会社ゼロ社・代表取締役。プロデューサー/編集者

2012年8月、㈱カンゼンから書き下ろし小説、テレビメディアの崩壊と再生を描いたアクション小説『メディア・ディアスポラ』が上梓された

メディア・ディアスポラ

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Twitter:@aikidouzuki

『メディア・ディアスポラ』 織田氏しか書けないテレビメディアのリアル amazon_associate_logo.jpg

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