かんぽ生命、契約者向け「不適切販売チェックリスト」…即解約や郵便局員の説明鵜呑みNG
かんぽ生命の保険商品の特徴は?
かんぽ生命の保険商品の特徴を一言でいえば「簡易・小口」。前述のとおり、養老保険や終身保険など、シンプルでわかりやすい商品がほとんどで、加入にあたって医師の診査は不要。簡単な告知のみで、職業上の制限事項もなく、どの保険者も同一条件で加入できる。全国どこにでもある郵便局で手軽に申し込めるので利便性も高い。その拠点数は2.4万で、小学校2万よりも多い(2018年3月末時点)。
加入限度額は、原則1,000万円まで(被保険者が満15歳以下の場合700万円)。ただし、被保険者が満20歳以上55歳以下の場合、加入後4年以上経過した契約がある場合など、累計で2,000万円まで加入できる。年金(基本契約)の加入限度額は、年額90万円(初年度の基本年金額)までだ。不慮の事故など、万が一の際には、保険金が倍額支払われる「保険金倍額支払制度」もある。
かんぽ生命でも商品ラインナップの充実を図ってはいるが……
“郵便局”という最大のブランドと信用力を活かして、顧客の囲い込みを図りつつ、2017年10月2日に、入院日数の短期化、外来手術の増加など医療環境の変化に対応した「医療特約 その日からプラス」、保険料払込み期間中の解約返戻金を低く設定することで保険料の負担を抑えた低解約返戻金タイプの終身保険、長生きした場合の年金の受取額を大きくし、長生きリスクに備えられる-いわゆるトンチン年金―「長寿のしあわせ」(長寿支援保険)などを新たに発売。
時代のニーズを考慮して、商品ラインナップの充実に努めてはいるが、ベースとなる商品が養老保険や終身保険などの貯蓄性保険商品では、昨今の予定利率の低さを考えても、商品力という観点では、生保各社に到底太刀打ちできない。
また、加入限度額が原則1000万円と制限があるため、働き盛りの夫の死亡保障としては物足りないし、終身保険や養老保険で高額な死亡保障に備えるとすると保険料はかなり割高になる。
また、掛け捨てで単体の医療保険やがん保険は取り扱っていない。保障ニーズが死亡からこれらの第三分野の保障へとシフトしつつあるなか、主力商品を主契約として、特約に医療保障を付加して販売するのが基本スタイルとなっているが、死亡保障が不要で、医療保障だけ確保したいニーズには対応しきれない。