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認知症とお金のはなし

親が認知症になる前に絶対にこれをやりなさい!親のお金を使えなくなる!

文=川嵜一夫/司法書士、家族信託コンサルタント
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「Getty Images」より

 前回記事『親が認知症になった途端に銀行口座が凍結!親が元気なうちに絶対にしておくべき行動リスト』では、親が認知症になると銀行からお金を下ろせなくなるといった注意点を紹介しました。

 介護だけでも大変なのに、その費用も介護する人が負担するとなると、非常に大変です。そして、成年後見人をつけると、さらに大変なことが起きることもあります。成年後見人は、専門家である私でさえ、絶対に避けたい制度です。

 成年後見は認知症などで判断力がなくなった人のために、代わりに事務手続きをする人をつける制度です。いわば「代わりにハンコを押す人」をつける制度です。

 多くの場合は、第三者が選任され、その人への報酬が年間20~60万円、被成年後見人(認知症などになった方)が生きている限り発生します。いったん成年後見人がつけられると、歯ブラシ1本買うのも成年後見人の許可が必要だったりと、何かと不自由です。

 これを避けるためには、判断力がなくなる前の“事前対策”が必要です。認知症になってからでは遅いのです。あくまでも、認知症になる前に対策をとらなければなりません。自動車保険や医療保険と同じで、事故や病気になってしまったときに慌てないようにするための備えです。

 では、具体的にはどうしたらいいのでしょうか。それは2つあります。ひとつは「任意後見」、もうひとつは「家族信託」です。

「任意後見」とは、自分で決める後見人

 もし、なんの備えもなくあなたのお母さんが認知症になってしまった場合、銀行でお母さんの口座からお金が下ろせなくなり、窓口で「成年後見人をつけてください」と言われます。成年後見人は、10人中7人くらいの割合で第三者が選ばれます。

 すると、びっくりするようなことが起こります。いきなり赤の他人があなたの家に来て、「私が成年後見人になりました。つきましては、お母さんの通帳を全部預からせていただきます」と言われ、通帳を全部持って行かれます。

 これを避けるためのひとつの方法が、任意後見人です。任意後見とは、「私が認知症になったら、財産の管理を頼みます」という契約です。

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 公正証書で、契約をします。もちろん、判断力がなくなる前に行う必要があります。とても大事なので、繰り返します。判断力がなくなる前にする必要があります。

 そうすれば、お母さんが認知症になっても、あなたが後見人として、お金の出し入れができます。第三者に通帳を持って行かれることもありません。

 ただし、任意後見は少しややこしい部分があります。自分が選んだ人が後見人として動けるようになるには、2段階の手続きが必要なのです。

・第1段階:(元気なうちに)公証役場で任意後見契約を締結
・第2段階:(認知症になったら)家庭裁判所に任意後見開始の手続き、監督人がつく

 実は、公証役場で任意後見の契約をしただけでは何も起きません。たとえば、任意後見人(正確には「受任者」)である娘が公正証書を持って銀行に行っても、お母さんの口座からお金を下ろすことはできません。なぜなら、お母さんはまだ元気で自分で手続きできるはずだからです。

 ところが、お母さんが認知症になって自分でお金の出し入れできなくなると、任意後見人が必要になります。そこで、任意後見を「発効」させる手続きが必要になります。

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