駆け込み後の反動減への対策が欠かせない
2017年4月、消費税が現在の8%から10%に引き上げられることになっています。もちろん、住宅も例外ではありません。土地は非課税ですが建物部分は課税対象であり、税率2%のアップは、価格によっては数十万円から100万円以上の負担の増加につながります。このため、当然消費増税が実施される前に買っておこうという駆け込み需要が発生するはずです。
需要が一時的に増えるだけであれば特段の問題はなさそうですが、問題はその後に反動減が発生するという点です。これまでの消費税創設時、5%や8%に引き上げられたときには駆け込み需要より大きな反動減が発生し、結果的にはそれ以前のレベルに戻ることはありませんでした。今回も何も手を打たないと、同様のことが発生するでしょう。
それは、一戸建てやマンションの施工会社、販売会社、仲介会社などの住宅業界の苦境を招くだけではなく、住宅着工の減少によってGDPが再びマイナスに陥るリスクもあります。
そして、実はその反動減が17年4月の消費税引き上げ時ではなく、それ以前の16年10月にやってくる可能性が高いので、早急な対応が必要なのです。
16年春先からは駆け込み需要が始まるか
住宅の消費税は原則的に引き渡し時の税率が適用されます。ですから、契約時期や内容にかかわらず、17年3月末までに引き渡しを受けることができれば税率8%でいいのですが、4月以降にずれこむと原則的に10%が適用されます。たとえば、16年の税率8%の時期に売買契約を結んでも、引き渡しが17年4月以降であれば10%が適用されるのです。これだけであれば、17年3月まで駆け込みが続き、反動減が起こるのは17年4月からになることが予想されます。
しかし、建築請負契約に限っては、引き渡しまでの期間がかかることを考慮して、16年9月末までに契約を締結すれば、引き渡しが17年4月以降になっても税率8%のままという経過措置が適用されます。このあたりの契約内容、時期などによる税率の違いは図表1にある通りです。
ですから、注文住宅やリフォームの建築請負契約については、16年9月末までに契約を結んでおこうと、一足早く駆け込み需要が殺到することになります。
そして、経過措置期限が切れる16年10月からは反動減が発生するのです。