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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

今年マンションや戸建てを買うべき人、買ってはいけない人…価格下落待ちの落とし穴

文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 この場合、必要な現金は登記費用や火災保険など購入時の諸経費のみですから、手持ち現金が乏しくても、比較的容易に家を買うことができます。

 しかし反対に、不動産価格が下落していく局面では、時間の経過とともに物件の担保価値も毀損していきますから、金融機関はリスクをとってローンを組むことができません。そのため、頭金を入れてもらって融資額を低く抑えたり、返済余力の高い人を優先して貸し出すようになります。

 つまり、好景気ならお金を借りられた人、あるいは自己資金がなくても家を買えた人が、不景気時には一転、ローンを組む難易度が上がります。

 地価が下がっているときでもローンを組めるのは、現金があり頭金を多く入れられる人か、公務員や一部上場企業に長年勤めているとか、高所得で返済余力に問題ないと判断される、つまり属性の高いサラリーマン。

 逆に中小零細企業に勤めていて年収が低い人、貯金など金融資産に乏しい人、収入が安定しない自営業の人といったいわゆる属性の低い人は、希望額のローンを出してもらうのが厳しくなるということです。

 個人的には、都市部の地価に限ってはオリンピックが終わったとしても急激に下落するという状況は想定していません。

 なぜなら、景気が悪いからといって住まいが不要な人はいないですし、企業が都市部に集中しているため、労働者もやはり求人など働き場所がある都市部に集まるからです。

結論

 しかし、もちろん絶対はありません。では結論はどうか。

 今年マイホームを買っても良いと考えられるのは、まず「何がなんでも家が欲しい」という人。なぜなら、家を買うタイミングとは本来、「自分が欲しいと思ったとき、そしてローンを返済していく意思と返済可能だとする根拠が固まったとき」だからです。

 次に、属性が低い・自己資金が少ないなど、現在の金融環境でないと住宅ローンが組めないかもしれないと予想している人。

 とはいえ当たり前ですが、負担の少ない範囲で高値掴みを避けることが重要です。買った値段でローン額が決まりますので、やり直しもあと戻りもできないからです。
 
 たとえば相続税法改正で納税対象者が増加していますので、納税資金確保や相続のために不動産の売り物件が増加し、売り急ぎや値付けミスなどによるお得物件が出てくる可能性がありますから、丹念に探すことです。

 では、今年の購入はやめておいたほうがよい人はどうでしょうか。

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 1971年、岡山県瀬戸内市牛窓町生まれ。岡山県立岡山城東高等学校(第1期生)、中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
 東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。
 2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

Twitter:@tokiogodo

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