今年は台風が少ないらしい、とのん気に構えていたら、8月にはいきなりトリプル台風が襲来した。また、記録的短時間大雨情報の発表も相次いでいる。
この記録的短時間大雨情報とは、気象庁のホームページによれば、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測した時に各地の気象台が発表するもので、災害の発生につながるような猛烈な雨が降っていることを意味する。
大規模な水害といえば、昨年9月に記録的大雨で鬼怒川が決壊し、多くの家屋が流されたことは記憶に新しい。また、2014年、広島県広島市の安佐北区・安佐南区で大規模な土石流が発生したが、これも局地的な大雨が原因だった。今年4月の熊本地震でも多くの家屋が倒壊したように、突然の災害で住処を失い、避難所生活となる可能性は誰にでもある。
防災意識の高い家庭なら、非常持ち出し袋をつくっているだろう。携帯ラジオや乾電池、懐中電灯などを中に入れているのではないだろうか。それ以外に、当座のお金として現金を入れている人もいるだろう。考えたくはないが、やはり、いざという時に気になるのはお金のことだ。
災害時の預金の引き出しについては、東日本大震災時に政府と日本銀行が発表した「災害被災地域の金融機関等に対する特別措置の要請」がモデルケースになるだろう。関係金融機関に対して、次のように要請している。
(1)預金証書、通帳を紛失した場合でも預金者であることを確認して払戻しに応じること。
(2)届出の印鑑のない場合には、拇印にて応じること。
(3)事情によっては、定期預金、定期積金の期限前の払戻しに応じること。また、これを担保とする貸付にも応じること。
(4)汚れた紙幣の引換えに応じること。
(5)国債を紛失した場合の相談に応じること。
防災袋にはお金関係や電話番号のリストを
実際に金融機関がどう対応したかというと、預金証書・通帳、届出の印鑑、および本人が確認できる資料(運転免許証など)があれば、1日10万円を上限に払い戻しに応じるとした。
ただし、これらがない場合でも、本人の確認ができれば払い戻し可能で、また預金者本人が死亡または行方不明だった場合も、親や配偶者、子供に限り、面談の上「預金者本人の氏名・生年月日等」「預金者との関係」などの確認ができれば払い戻しに応じたという(全国銀行協会「東日本大震災における銀行界の対応と今後の課題」より)。
ただ、預金者が安否不明で、どの銀行に口座があるかわからないという状況もある。いざという時のための備えとしては、以下のようなものを非常持ち出し袋に入れておきたい。
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