安倍・自民党圧勝で、2年後に消費不況&賃金抑制スパイラル…5年半で消費税が2倍に
22日に投開票された衆議院選挙は、事前の予想通り与党が圧勝しました。これを好感して日経平均株価は過去最長となる16日間続伸を記録しました。株価は景気を映す鏡といわれていることから、当面は明るい状況が続くといえる反面、その先を見れば楽観とはいえない気がしてなりません。
その先とは2年後。安倍晋三首相は2019年10月の消費増税を容認しているからです。消費増税による増収分の一部を教育無償化、高等教育の負担軽減などに充てるのは家計にやさしい政策に思えます。ただし、それも「景気が良い状況であれば」という前提条件があることを忘れてはなりません。
前回、消費税が5%から8%に引き上げられた2014年4月以降の景気を振り返ってみましょう。
当時、消費税増税の影響は軽微ですむ、一時的に景気は落ち込むがすぐ回復するというのが専門家筋の大多数の意見でした。実際の経済成長率(GDP成長率)は、14年1~3月期は前期比6.7%のプラス、同4~6月期は7.1%のマイナス、同7~9月期は1.9%のマイナス、同10~12月期は1.5%のプラスでした。2四半期でマイナス圏を脱したのだから軽微で終わったと納得されるかもしれません。
では、私たちの家計はどうだったのでしょうか。
総務省が毎月公表している2人以上世帯の消費支出によれば、14年4月は対前年同月比4.6%のマイナス、同5月は8.0%のマイナスと続き、プラスに転じたのは1年後の15年5月です。ただし、1年前の消費増税による消費低迷の反動という要素を差し引けば、同年8月あるいは16年2月までかかったといえるのです。しかも、消費増税後に対前年同月比で2カ月連続してプラスとなったことは17年8月まで1度もありません。
ちなみに14年5月の8.0%のマイナスは、東日本大震災があった11年3月に匹敵する消費の落ち込みなのです。当時、東日本では保存食などさまざまなものが店舗の棚から消えてしまったことを覚えていることでしょう。当時は、必要なモノを買いたかったけれども買えなかったというのが実情でした。