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スポーツベッティングの合法化から1周年……ニューヨークのスポーツベッティング市場

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2020年から2年以上に渡って続いた新型コロナの世界的な大流行は、さまざまな消費者行動を変えた。特に在宅勤務をはじめとする物事の「リモート」化が急速に進んだ。オンライン形式で行われたコンサートや映画祭、それに観客が誰一人いない巨大なスタジオアムからの、どこか不思議な無観客のスポーツ中継を覚えている方も多いのではないだろうか。

米ニューヨーク州でのモバイルスポーツベッティングの合法化も、それとは完全に無縁とは言えないだろう。2022年1月8日の合法化から1周年を迎えた今、アメリカ社会は表面を見る限りではコロナ前にほぼ戻ったと言えるが、このニューヨーク州におけるモバイルスポーツベッティング合法化が、最初の一年でもたらした結果を見ていきたい。

スポーツベッティングとは?

そもそもスポーツベッティングとは何か、というところから軽く話を始めたい。「スポーツベッティング」とは英語で「スポーツに賭けること」を意味しており、一般的には「ブックメーカー」がオッズを提供するさまざまなスポーツの勝敗予想に賭けることになる。

このブックメーカーはもともとイギリスで普及した。かつてはブックメーカーの店舗が街中にあったが、今ではオンラインのものがほとんどで、上記の「モバイルスポーツベッティング」も、スマートフォンなどののモバイルデバイスからオンライン上でアクセスすることが念頭に置かれている。大手ブックメーカーの中には多国籍で展開しているところもあり、日本語ページをもつブックメーカーも存在しているが、現在の日本の法律では合法とされているわけではない。

イギリスやその他のヨーロッパではサッカーや競馬を中心にブックメーカーが発展してきたが、アメリカではバスケのNBAや、毎年「スーパーボウル」が大きな注目を浴びる(今年は、Rihannaのハーフタイムショーも話題になった)アメフトのNFL、それに日本人選手も多数活躍してきたMLBなど、エンタテインメントとしても大きな存在感を放つ巨大なスポーツリーグが存在しており、独自のスポーツブック市場が発展してきたと言うことができる。さらにはプロスポーツと並んで熱烈なサポーターのいる大学スポーツも賭けの対象になっている。

スポーツベッティング合法化からの経済効果は?

ニューヨーク州によると、2022年1月8日から2023年1月7日までの1年間、州内で認可されたブックメーカーにスポーツベッティングで落とされた金額は約166億ドルに上り、これらブックメーカーから州政府へは7億ドル以上の税金を含む収入、それに2億ドル以上のライセンス料が納められたことにより、合計9億ドルに上る収入がもたらされたという。

2022年は対ドルの円安が急速に進行したこともあり、この166億ドルという数字の日本円による換算値を一概に出すことはなかなか難しいが、1ドル=134円としても約2.2兆円となる。2022年の日本の映画興行収入が2131億円との報道があったが、その約10倍であったことを考えると、その規模の大きさがざっくりとでもお分かりいただけると思う。

これら収入は、主に州内の教育関連部門へと使用されるとされているが、同様にオンラインのスポーツベッティングを合法としている他の州と比較しても記録的な数字と言われており、ニューヨーク州のスポーツ賭け合法化のもたらした経済効果の大きさを物語っている。

アメリカ全ての州で合法というわけではない

ところで繰り返しになってしまうが、オンラインスポーツベッティングに落とされたこの166億ドルという数字は、全米ではなくニューヨーク州だけの数字である。

実はアメリカでは、ギャンブルの法的扱いに関しては州の管轄となっており、例えばカジノの設置に関して、バラつきがあるのと同様、スポーツベッティングを含むオンラインでのギャンブルについては、それを合法としている州、違法としている州など、対応がまちまちになっている。

ラスベガスのある西部のネバダ州は、ギャンブルが合法とされている州としてよく知られているが、東海岸ではニューヨークのお隣で、アトランティックシティを抱えるニュージャージー州もオンラインのギャンブルが合法となっている。これらの他にもオンラインでのスポーツベッティングを合法としている州の数は25に上るが、ニューヨーク州はカリフォルニアとテキサスに次いで全米第3位の人口を抱え、他州に比べてもその市場規模は圧倒的だ。

世界的に見てもさらに拡大傾向にあるスポーツベッティング市場であるが、この記事では米ニューヨーク州のオンラインスポーツベッティング市場について、合法となって最初の1年の経過について書いた。アメリカではこの他にも合法化を検討している州もあり、さらなる市場規模の拡大も見込まれる。

※本稿はインフォメーションです。

BusinessJournal編集部

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