すでに投資を行っている人のなかには、10分単位、15分単位での値動きだけを見る人も少なくない。もちろんこれでも利益は上げられるが、あくまでも基本は、まずは大きな値動きの流れと直近の値動きを総合的に見て、トレンドを判断することが望ましい。
トレンドの動きはおおむね、
(1)上昇トレンドのなかの上昇途中
(2)上昇トレンドのなかの下落途中
(3)下落トレンドのなかの下落途中
(4)下落トレンドのなかの上昇途中
の4つに分けられる。
このうち投資を始めたばかりの人でも利益を上げあげやすいのは、(1)(3)である。つまり短期的な値動きと、大きなトレンドが一致するときだ。
理想としては、月足、週足、日足で、それぞれのトレンドラインを引き、これが右肩上がり=上昇トレンドなら「買い」、右肩下がり=下落トレンドなら「売り」から取引に入れば利益が上げやすいとされている。
では、米ドル/円の値動きを例に解説しよう。まず月足の動きから。2007年1月の124円10銭を天井として、以降、現在まで米ドルは下落トレンドを辿っている。今年に入り、日銀の金融緩和政策の影響などから、若干米ドル高の動きも見えるが、大きな流れとして米ドルは今も下落トレンドという見方が多い。
しかし週足では異なる。11年10月の75円57銭をつけてから、その後12年4月まで、週単位での底値は徐々に上昇しているのだ。
これにより、米ドルがそれまで長らく続いた下落トレンドから上昇トレンドへと転換したとの見方もあるが、必ずしもそうとはいえないだろう。なぜなら3月、1米ドル/84円17銭の高値をつけたものの、昨年3月につけた85円52銭を上回ることができず、結局、4月まで下落の一途を辿り、一時は80円55銭まで下落した。
米ドルはいま上昇トレンドにあるのか、大きな下落トレンドという流れのなかの一時的な上昇サイクルにあるのか、判断に迷うところだ。これが今の相場を難しくしている要因だ。
つまり米ドルは今、大きな流れでは下落トレンドかもしれない。しかし目先の動きでは上昇の途中にあるのかもしれない。実に取引しづらい局面である。
では、目下の値動きのうち、さらに小刻みな動き=日足を見てみよう。米ドルの値動きを日足でみると、12年3月の84円17銭の高値から、以降、日単位での底値が徐々に下落、4月に入って80円29銭で下げ止まり、膠着状態が続く。
こうした値動きの膠着状態は、相場の世界では、先行き上昇にも、下落にも大きく振れやすい状況であることはよく知られている。FXではトレンドに沿った順張り【編註:値動きが上昇なら買い、下落なら売り】での取引のほうが利益を上げやすいといわれる。
膠着状態を乗り切るための”仕掛け”とは?
トレンドを読みにくい現在のような局面で、投資を行うならば、知恵を使って値動きが上昇/下落どちらに振れても、利益があげられるような”仕掛け”を講じることが得策だ。例えば、値動きが上昇すれば買い、下落すれば売りという「逆指値」を活用すればいい。