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“オトコたちのウットリワールド”をぶった斬り!「男性誌」のあぜ道 第5回

「表紙は山岸舞彩」「GOETHE」の秘書特集に垣間見るオヤジリビドーのほとばしり具合

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 お次は、『もしも秘書がいたら、何をしてくれるかな? 派遣秘書3DAYS体験』。2008年に「美STORY(現「美ST」)」を創刊し、美魔女ブームをつくった山本由樹氏(「DRESS」編集長)が、まだ未体験という秘書とのビジネスライフを3日間、体験してしまうという企画でございます。「10:00 出社」「11:30 手土産買い出し」などとタイムスタンプを刻みながら、美人秘書の3日間を密着ルポ的に紹介。3日間の体験を終えた山本氏は「経営者の孤独を癒してくれた秘書の存在。いつか僕も秘書を持つにふさわしい男に!!」と感想を残します。手練れの美魔女キラーが童貞のふりをするような、たいへんに清々しいコメントでございますね。

 以降、マンガ家や経済学者、動物園園長といった専門領域で活躍するボスと秘書の皆さんが登場する『あの専門家たちと、どう向き合ってる!? エキスパートの個性を引き出す秘書術』、ビジネスシーンで気の利いたスイーツを手土産にしたい時など、情報としても何気にお役立ち感の高そうな「秘書がもらって嬉しい手土産」、とてもヌルめな秘書対談のテイで文具やハンドクリームを紹介する「もう手放せないっ 秘書を助けてくれる6種の神器」など、手抜かりのない斬り口で読者をお腹イッパイになるまで楽しませます。

 ただ、どんなに満腹だろうと、やはり目が釘付けになってしまうのは『有能秘書に頼りたい! 噂の美しき才女たち』というグラビアコーナーですよ。美人秘書の皆々さまが、それはそれは麗しく、カッコよく、ほのかにエロく微笑みかけてくれるのです。この力の入れようたるや、下手なグラビア誌が裸足で逃げ出すような仕上がり。たいへん結構な目の保養になりました。

 と、エッセンスをかいつまんだだけでもテンコ盛り感を覚えずにはいられない、コッテリ度の高い企画なのは確かです。ここまで作り込むのは、相当な手間と労力だったであろうことが誌面からジワジワ滲んでまいります。さすが人気企画、編集部の力の入り方も違うといったところでしょうか。

 実際のところ、長いビジネス人生においては秘書が付くような立場になる人のほうが少ないわけです。とすれば秘書は、いわば夢(妄想?)のような存在。それはすなわち、非常に端的なオトコのロマン……という意味で、実に男性誌的な良企画といえるのではないかと。

 それにつけても、この企画全体から醸されてくる、ヘソから下の胆力やら精力やらが満ち溢れすぎて収まりがつかないような、男子的(小僧的!?)熱量の高さは何なのでしょう。これって、朝のテレビ番組などでもお馴染み、舘野晴彦編集長の特質をじんわりと示しているのでしょうかねぇ。
(文=漆原直行)

【プロフィール】
漆原直行(うるしばら・なおゆき)
1972年、東京都生まれ。編集者、記者、ビジネス書ウォッチャー。大学在学中からライター業を始め、トレンド誌や若手サラリーマン向け週刊誌などで取材・執筆活動を展開。これまでにビジネス誌やIT 誌、サッカー誌の編集部、ウェブ制作会社などを渡り歩きながら、さまざまな媒体の企画・編集・取材・執筆に携わる。ビジネスからサブカルまで“幅だけは広い”関心領域を武器に、現在はフリーランスの立場で雑誌やウェブ媒体の制作に従事。著書に『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』『ネットじゃできない情報収集術』などがある。

BusinessJournal編集部

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