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小林敬幸「ビジネスのホント」

だから事業はいつも失敗する!SWOT分析、消費者アンケート…無意味な手法ばかり?

文=小林敬幸/『ビジネスをつくる仕事』著者
だから事業はいつも失敗する!SWOT分析、消費者アンケート…無意味な手法ばかり?の画像1「Thinkstock」より

 いい新規事業のアイデアを考えようと、企業内の会議や企業外でのセミナーなどでさまざまな創造的手法が試みられている。

 2014年11月6日付本連載記事『はやりの企業内新規事業開発PJは、なぜ失敗するのか?冒すべき3つのタブー』において、新規事業ができない方法として、新規事業ができるメソッド、「何かいい新しいビジネス」を探すブレスト、プレゼンコンテスト(ビジネスではなくプレゼンのうまさを競ってしまっているコンテスト)の3つを挙げた。

 こうした仕組みに加えて、今回は実際にチームを組成して打ち合わせるときに、よく取られる方法だが、いい新規事業のアイデアが出ない方法を挙げる。

バリューチェーンマップ・業界地図

だから事業はいつも失敗する!SWOT分析、消費者アンケート…無意味な手法ばかり?の画像2『ビジネスをつくる仕事』(小林敬幸/講談社現代新書)

 原材料の生産から、製造、流通、消費者への販売までのバリューチェーンマップをまず書いて、そこから新規事業のアイデアを得ようとすることがある。これは、既存の自分たちの事業を、その事業を知らない人に説明するのには有効だ。しかし、いくら既存事業の業界地図を眺めていても、新しい事業分野を見つけることはできない。

 旧大陸の地図をいくら眺めても、新大陸を発見できないのと同じだ。新規事業は、その現状の地図の外にある。また、調べれば調べるほどわかることも多いので、はまりだすと地図をどんどん精緻に描くことばかりに精力を使ってしまい、知識は増えてもアイデアは細ってしまう。一般的に、現状認識を深めると現状肯定につながり、変革を抑えてしまう。

分野別成長率

 官庁や調査会社が出している分野別の成長率を用い、その成長率の高いいくつかの分野を特定する。そして、その分野の中で成功している商品や企業を10~30社くらい選び出す。そのうち、自分たちが手掛けられる事業は何かと考える。一部のコンサルタントが新規事業開発をサポートするときに取りがちなアプローチだ。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』 仕事ができる人は「誰でも手に入る情報」から答えを出せる。情報の集め方、捨て方、活かし方―能力ではなく、技術の問題です。 amazon_associate_logo.jpg

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