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国交省、経産省、総務省――ニッポンのドローン普及に立ちはだかる「空中利権」裏事情

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 2015年4月、千代田区内の首相官邸に小型のドローンが落下した事件は記憶に新しい。

 最新テクノロジーに関心がある人の間ではすでに広く認知されていたドローンは、この事件をきっかけにより一般的にも知られるようになった。

 ドローンといえば、Amazonがドローンによる商品配達に利用しようと計画していることが知られているが、すでにシンガポールとスイスでは郵便配達に一部ドローンが導入されており、産業分野でのあらたなビジネスの柱として、大きな注目を浴びている。

 ただ、少なくとも日本においてドローンが普及するにはまだしばらく時間がかかりそうだ。

 次世代テクノロジーに造詣が深く、さまざまなメディアを超えて活躍する高城剛氏の著書『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか? ドローンを制する者は、世界を制す』(集英社刊)は、ドローンの持つ大きな可能性に触れるとともに、それが社会に根付くために解決されなければならない課題にも触れている。

■各省庁がせめぎ合う「空中利権」

 ドローンが日本社会に普及するための課題の一つとして、高城氏が挙げているのが、今の日本に存在する「利権」である。

 普段意識することは少ないが、地表を離れた「空中」には、各省庁のさまざまな利権が絡みあっている。たとえば地表0mから70~80m地点までは、国土交通省や経済産業省が幅を利かせ、道路交通法に基づいて警察庁が取り締まる。そして地上150mから飛行機が飛び交う1,000mまでは、航空法に基づく国土交通省の管轄だ。それより上、地上から何万mも離れた場所を飛ぶ人工衛星や、電波については総務省の監督下にある。

 この状況下だと、ドローンを飛ばせる場所として空いているのは、地上70~80mから150mあたりまでということになる。道交法の守備範囲と航空法の守備範囲の間に、今のところ利権のない、手つかずの「新領域」が存在するのだ。

 今後、この領域を統括するための法律が整備され、新たな利権が形成されていくのは間違いない。

 たとえばアメリカの場合は、Amazonなどドローンを活用したい企業がFAA(アメリカ連邦航空局)に対して、地上200フィート(61m)から地上400フィート(122m)の間を新しい「高速交通帯」と定義してドローンに開放し、200フィート以下を新しい「低速地域交通網」として空域を分ける、という考えを提出している。

 日本においても、この「新領域」の法的な扱いが議論され、徐々に固まっていくはずだが、どの企業、どの組織がこの領域での主導権を取るかで、これからの日本のドローン事情は大きく変わっていくはずだ。

 また、技術的な課題もまだ多く残されている。ビルが乱立し、電線が張り巡らされている都市部を数多くのドローンが安全に飛ぶにはまだしばらく時間がかかるだろう。Amazonが目指しているように、ドローンを使って配送コストを下げたいのであればこの課題をクリアすることは不可欠だし、空撮や建築など、他のビジネス利用についても同じことが言える。

 ただ、こうしたリスクや課題も鑑みてもなお、ドローンには大きな可能性があるのは間違いない。『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか? ドローンを制する者は、世界を制す』には、ドローンの普及によって考えうる未来と展望や現状、そして現在ドローン開発をリードするアメリカの「3Dロボティクス」、フランスの「パロット」、中国の「DJI」の3社の経営者への高城氏のインタビューなどが掲載され、これらがもたらす未来に期待が高まる。

 5年後、あるいは10年後の世界はドローンによって大きく変わっているかもしれない。
(新刊JP編集部)

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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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