私のクライアントには、楽天などのECモールでビジネスを展開しているクライアントが少なくありません。そうした企業の方から、楽天のECコンサルタント(以下、ECコンサル)について、次のような話をよく聞きます。
「いつも電話に出ない」
「広告販売の話しかしない」
「システムの使い方が全然わかってない」
みなさんもこのような話を聞いたり、自身で経験したことはありませんか?
しかし、ECモールには月に1億円売る店舗もあります。ECコンサルは、そのような大型店舗にも同じような対応をしているのでしょうか?
今日は、ECコンサルの裏側をのぞいて、その価値と有効に活用する方法を考えてみます。
●ECモールの裏側と重要な視点
例えば、楽天では現在ECコンサルが1人で担当している店舗数は平均約80店舗といわれています。1カ月の営業日数が20日で、一日当たり店舗に電話をする件数が平均10件くらいとすると、1店舗当たり1カ月に2回から3回は順番が回ってくるという計算になる。
しかし、実際はどうなのだろうか?
楽天のオフィスでは、常に電話が鳴っているそうだ。一日100件以上電話をしているECコンサルもいると聞く。それが本当ならば、電話でコンタクトできる店鋪とそうでない店鋪に極端に、差があるのではないか?
次々に疑問が湧いてくる。
常識的に考えて、80店舗も担当があれば、力を入れてコンタクトが取れるのは10店舗くらいではないだろうか。さらに、売上アップのための戦略を細かく提案して、一緒に動いていけるとなると、せいぜい3〜5店舗程度ではないか?
では、残りの約70店舗にとって、ECコンサルの存在意義はどこにあるのだろうか?
●売上が高い店舗にとっての、ECコンサルの存在意義
ECコンサルの事情に詳しい、ある社長に話を聞いてみた。
「ECコンサルは商売のプロではないんですよ。でも、ネット販売のプロではあります」
ECモールでの売上が、年間数億円になるというその社長に、まずこう切り出された。
「当然、彼らは社内にいるので、我々には公表されない広告の効果や広告枠のよし悪しも知っています。それ以外にも、ランキングで急上昇してきた商品がなぜ売れたのかといった事例の検証もしています。ランキングを上げる方法、ランキングのメリット、どんな商材を仕入れるべきか、効果的に商品を展開するにはどうしたらいいか? すべて過去の事例を基にした知識があるのです。これらは内部情報ですから、我々では絶対に集められないのです。けれども、それを知っているのが彼らの特権なのです。つまり、私のような店舗運営者にとって、ECコンサルとは内部情報をフル活用して、ビジネスを助けてくれる、外注社員のような存在なのです」
楽天をはじめとして、ECモールで店舗を運営するにはマージンが必要。しかも、安くはない。
「どうせ払わなければならないマージンであれば、社員を一人雇ったと考える。例えば、ECのプロである楽天社員であれば年収500〜600万円は当たり前だ。楽天のマージンが10%だとして、このプロ一人がいることで、年商が5000〜6000万円を超えれば元が取れると考えればいい」
確かに、マージンが変わらないのであれば、ECコンサルを有効に活用する方法を見つけたほうが良い。そのために考えられるポイントを挙げてみよう。