著:枡野俊明/河出書房新社
誰でも毎日穏やかに、笑顔で過ごしたいものでしょうが、なかなかそうもいきません。
仕事をしたり、人とかかわっていると、腹立たしい出来事は次々と起こります。そんな時にいちいちイライラしていては体がもたないとはわかっているものの、うまく気持ちのコントロールができなかったりします。
『怒らない 禅の作法』(枡野俊明/著、河出書房新社/刊)は、こうした外部からもたらされる怒りに惑わされない心を作る方法を教えてくれます。
今回は本書から、「思わずイラッとしてしまった時」の対処法を紹介します。
■おなかからゆっくりと深く呼吸をする
イラッとしても、その気持ちを相手にぶつけてしまっては、人間関係が壊れてしまいます。そんな時は、自分の「呼吸」に気持ちを集中させてみましょう。
下腹を意識して、ゆっくりと深い呼吸を5~6回繰り返すと、次第に心が落ち着き、それまで気づかなかった周囲の物音や風景を感じ、怒りによって狭まった視野を広げることができるようになります。
実は、呼吸と心には密接な関係があります。呼吸は心に直接働きかけ、気持ちを安定させる力を持っているのです。
呼吸を整えると血流がアップし、逆に呼吸が乱れると血流が低下するとする実験データもあり、呼吸が心身に与える影響は科学的にも証明されています。
■湧いてきた怒りは、放っておく
イライラしたり怒っている状態は、静かな湖に小石が投げ込まれ、波紋が広がっている状態に似ていると、著者の桝野さんはいいます。そして、待っていれば波紋が消えるのと同様、心の波立ちもそのまま放っておけばいつかは消える、とも。
「怒っちゃダメ」「忘れなきゃ」と思うのは逆効果です。怒りを感じたら、無理にその感情を抑えつけようとせずに、目の前のことに集中するようにすると、波立っていた心が鎮まるはずです。
■被害者意識を消す
人からひどい仕打ちを受けたり、理不尽なことで怒られるのは腹立たしいものです。そんな時、確かにあなたは「被害者」なのかもしれませんが、その被害者意識こそが自らの怒りの元凶だということも忘れてはいけません。
そんな時は「私を鍛えようとしてくれているんだ」と、被害者の立場をとることをやめて発想を逆転させてみると、怒りに捉われない、軽やかな生き方ができるはずです。
怒りや苛立ちなどマイナスの感情をいつまでも引きずっていては、楽しいことも楽しいと感じられませんし、おいしいものもおいしいと思えません。
本書には、些細なことに怒りを感じない心を作る習慣や、イライラした時の対処法などが解説されていますので、気持ちを切り替えるのに時間がかかる人、自分の気持ちを制御できない人は、参考にしてみると毎日の生活が変わるかもしれません。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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