経営の神様と呼ばれる松下幸之助は、面接で必ず「あなたは運が良いですか?」と質問していたといいます。
実際、どんなに素晴らしい才能を持っていても運が足りず成功できない人がいる一方で、才能はなくとも努力を重ね、さらに運が味方して成功を収める人もいます。子どもの頃、ずば抜けて頭の良かった神童が成長して普通の人になっていたり、逆に当時はパッとしない存在だったのに運を手繰り寄せて大物になっていたり……というのはよく聞く話でしょう。
私たちの人生を左右する「運」を、多くの人はコントロールできないと考えますが、そうではありません。放送作家であり戦略的PRコンサルタントの野呂エイシロウさんは、運と成功のメカニズムを解き明かした『成功を決めるのは才能よりも運』(大和書房刊)で、次のように述べています。
「運は見えないようで、じつは見えている」(p.2より引用)
では、運に好かれる人――つまり運が良い人と、運に見放される人――つまり運の悪い人はどのようなところに違いがあるのでしょうか。実はたくさんのポイントがあるのですが、ここでは本書から3つご紹介しましょう。
■「運の良い人はすぐやる。運の悪い人は先延ばしにする」
運の神様は腰の軽い人が好き、と野呂さん。大前提として自分から動かないと運は巡って来ないと言います。
どんどん行動し、決断していく姿勢は持っているでしょうか? 「タイミングを見て」と悠長なことを言っているとチャンスを取り逃がしてしまいます。人間は黙っていても老いていきます。「あのときこうしていれば」という後悔をなくすためには、思いついたまま動くしかないのです。
運を逃し、成功できずに終わるのは、勝負し続けずにやめてしまうから。
野球選手が(打率は別にして)1本でも多くのヒットを打つには、たくさんの打席に立つことが必要です。「自分はこんなもんじゃない」と思ううちは、できるかぎり打席に立ち続けましょう。
■「運の良い人は大局的に物事を見る。運の悪い人は小さいところにこだわる」
戦略的PRコンサルタントとして、たくさんの企業に携わる野呂さんは、成功する企業と伸びない企業の違いについて、こんな指摘をします。
伸びる企業は大局的に物事を見ている。目先のことにこだわり過ぎていると大局を見逃してしまう。
これは個人でも同じことが言えるでしょう。運がいい人は物事を引いてみる癖があり、大きなデザインを考えて細部を組み立てていきます。その中で、一つの小さな失敗にはこだわらない。
しかし、現代の日本人は小さなことばかり気にしていて、本来ダイナミックに向かうべき根本的な問題の解決から逃げているように見える、と野呂さんは訴えます。あなたは大きな視点で物事を見ているでしょうか?
■「運の良い人は、人が多い場所によく行く。運の悪い人は、人との付き合いを避ける」
運は誰かが運んできてくれるものです。
もし、「運が停滞しているな」と思っているのなら、まずはたくさん人がいる場所に行くことが大事だと野呂さん。「強力な運上げシステムの筆頭は、たくさんの人に会うこと」と断言します。