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元ANAトップCAが語る、クレーム対応の極意と、成果を生む組織マネジメント&仕事術

元ANAトップCAが語る、クレーム対応の極意と、成果を生む組織マネジメント&仕事術の画像1元ANAのCA里岡美津奈さん
 日本の歴代総理やサッチャー元英国首相をはじめ、皇室やさまざまな国のVIPを担当してきた元全日本空輸(ANA)・CA(キャビンアテンダント・客室乗務員)の里岡美津奈さん。そうそうたるVIPの面々を接遇してきた経験から得たことを綴った『誰からも好かれる女(ひと)の  人と運を引き寄せる習慣』(明日香出版社)などの著書もある里岡さんに、

「知られざるCAというお仕事の裏側や難しさ、魅力とは?」
「接客、クレーム対応、“トクする”コミュニケーションの極意とは?」
「他人を頼りにして成果を出す仕事術、人材育成、チームマネジメントの秘訣とは?」

などについて聞いた。

–里岡さんのクレーム対応のコツは?

里岡美津奈さん(以下、里岡) 何かひとつは具体的な提案をお返しすることですね。自分がクレームを言うときのことを振り返ると、ただ文句を言いたいだけではないんですよね。明確に変えてほしい何かがある。また謝罪を望んでいるわけでもない。謝られずとも、変えてほしいと求めていることがかなえば、それでいいんですよね。

 自分がそうですから、それをお客様にも置き換えて考えるんです。私だったら、自分の要求を少しでもくみ取ってほしい。だから、私は受けたクレームに対しても、そのように対応するんです。

 機内という限られた環境の中では、なんともならないことが多いのですが、それでも具体的なことを何かひとつご提案させていただくようにしていました。

–例えば具体的に、どのようなクレーム対応をされましたか? 実例をお聞かせください。

里岡 「前の席の方がシートをリクライニングされた。自分の座席が狭い。どうしてくれる」というクレームがありました。それに対し、「チケットをお取りになられる際、座席指定がございます。一番前のお座席をご指定いただければ、前にほかのお客様もなく、快適にお過ごしいただけるかと思います」とか「空席に移動なさいますか?」とか申し上げていたんです。それでも「そうじゃない」と、お客様は気がお済みにならないご様子。

 そこで私は「はっきりと言わせていただいても、よろしいでしょうか?」ということで、こう申し上げました。

「お客様、物事にはすべて矛盾や条件がございますよね。通路側のお客様であれば、お手洗いにお立ちになる際、誰にも気を使わずに済む。ただし、外の景色をご覧になることはできません。一方、窓側のお客様はお手洗いの際に、隣のお客様に気を使わなければならない。けれども、外の景色をご覧になることはできますよね」と。すると「そうだ」と。そのお客様の求められている回答は、それだったようなんです。「みんな、自分を言いくるめようとした」と。

 ですから、何を求めていらっしゃるかを見極めて返すことが大切なんだと学びました。そんな禅問答のようなことばかりですから、クレームのご対応というのは(笑)。

–なかには、ただ文句を言いたいだけの困った方もいらっしゃるのでは?

里岡 そういったうっぷんを晴らしたいだけの方は、相手を見てますから、私のような、ひとつ言えば10倍返ってくるような(笑)タイプのCAに言ってこられることは、まずありません(笑)。やさしそうな、かわいらしい感じのCAにしか言ってこられませんよ。

–クレーム対応の際、どのような態度で臨まれますか?

里岡 にこやかに、しかし毅然と向かいますね。私たちCAは女性警察官ではありませんから、取り締まるわけではない。ただフライトというのは、私の舞台なんです。どなたでも楽しんでいただきたい。楽しめない方がいらしたら、楽しめないなりに楽しんでいただこうと思う。ですから、決して怖い顔をする必要はないんですよ。にこやかに対応すればいい。

 ただし、機内という限られたステージですから、地上とは違って物品なども限られます。その中で、ご納得いただかなくてはならない。ですから、時には毅然とした態度で臨まざるを得ない事例もあるわけです。周りの秩序というものがありますから、時にはひとりを捨ててでも周りを救わなければならない。そういったジャッジも必要になってくるんです。

 例えば航空法に抵触するような機内での迷惑行為は犯罪ですから、それをなさった場合には、毅然とした態度で臨まなければなりません。はっきりと申し上げるべきことは申し上げますし、着陸時に警察官を呼ぶことになります。ですが24年間の経験の中で、実際に警察を呼ばなければならないという事態に陥ったことは、幸いありませんでしたね。

–一般のビジネスパーソンも、クレーム対応の場面に遭遇することは、大なり小なりあるかと思います。彼らがすぐに使えるテクニックがあれば、教えてください。

里岡 声、表情、言葉。それら三位一体で受け答えすることですね。カウンセリングの傾聴のような技法なんですが、まず話に応じた表情を浮かべること。これがなければ逆上されかねません。聞いているのか、聞いていないのかと。

 また、いかに気持ちよくお話しいただくかですから、途中で口を挟まないこと。そして、いい合いの手を打って、気持ちよくお話しいただくこと。言いたいことを言えて、相手に伝わった、という感覚を持たれれば納得されるわけですから、そうお感じいただくことが大事なんですよ。わかっているはず、伝わっているはずではなく、「こちらに伝わっていますよ。わかっていますよ」というのが、相手にもわかるように話を聞くんです。例えば「おっしゃりたいことは、こういうことですね」と復唱する。そこで、お互いの認識の一致を図るわけです。

–クレーム対応をはじめとした、人の話の聞き方ですが、男女差はあるでしょうか?

BusinessJournal編集部

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